【展覧会レポート】松岡美術館『再開記念展 松岡コレクションの真髄』

2019年6月から長期休館していた、東京都・白金台の松岡美術館。
2年半の歳月を経て再開館したリスタート記念の展覧会は、創立者・松岡清次郎のコレクションを心ゆくまで楽しめるものでした。

館を訪れると、スタッフの皆様のにこやかな笑顔。
きっと長い間開館を心待ちにしていらっしゃったのだろうと、胸がいっぱいになりました。

松岡美術館が誇る珠玉のコレクションとは。受け継がれる創立者の思いとは。
展覧会の概要とともにご紹介します。

閑静な白金台エリアに建つ私設美術館「松岡美術館」

『再開記念展 松岡コレクションの真髄』

松岡美術館は、創立者・松岡清次郎が一代で築き上げたコレクションを有する私設美術館です。
再開して最初の展覧会では、コレクションの中心的存在とも言える東洋磁器を中心にさまざまなジャンルの美術品を見せています。

こんな人におすすめ

・美しい彫刻や色鮮やかな東洋の陶磁器をたくさん見たい!
・清次郎が集めたさまざまなジャンルの美術品を一度に楽しみたい!
・そもそも松岡美術館がどんな館なのかを知りたい!

松岡清次郎(まつおかせいじろう)ってどんな人?

松岡清次郎は、銀座の貿易商・矢沼商店に入社後に独立し、貿易商・松岡商店を設立した人物。以後は冷蔵倉庫業、ホテル経営、不動産業、予備校経営など幅広く事業を展開した実業家です。

若い頃から美しいものに憧れ、25〜26歳のときに美術品の蒐集を始めた清次郎。
「美術館を建てよう」と決心したのは80歳のときです。

そうして1975年に、港区新橋の「松岡田村町ビル」内8階に松岡美術館が開館しました。

集めた美術品は、古画、中国陶磁、中国古代青銅器、茶道具と多様です。

特に、常設展示もされているガンダーラ仏教彫刻は、質・量ともに国内屈指のガンダーラコレクションとしても知られています。

ガンダーラ仏教彫刻が見られる展示室3は、静謐な空間です。

——好きなものを集めて鑑賞して楽しんで、そして楽しませてもらった美術へのお礼として、その喜びを多くの人にわかち合いたい

松岡清次郎

しかし没する直前まで作品の蒐集を続けた清次郎は、野外美術館の計画も志半ばにして亡くなります。その後、遺族たちが彼の意思を受け継ぎ、本人が気に入っていた自然溢れる邸宅跡地に新館を建てました。

これが今の松岡美術館にあたります。

展覧会のみどころ

再開記念の企画展は大ボリューム。3つのタイトルで構成されています。

それぞれ異なるコンセプトのため、展示室ごとに違った風景を楽しめるのが魅力的です。

館蔵 東洋陶磁名品選 松岡清次郎の志をたどる

清次郎は大ぶりな作品が大好き。美術館設立の決定打となった《青花龍唐草文天球瓶》《青花双鳳草虫図八角瓶》も、華やかな見た目が印象的です。
蒐集した順番に展示しているところにもこだわりが感じられます。

《青花胭脂紅双鳳文扁壺》
《三彩馬》
午年生まれだった清次郎は馬を好んだそうです。
《澱青釉紅斑杯》

展示室いっぱいに並ぶ色とりどりの器に心躍ります。

館蔵 日本画 花鳥風月

横山大観や酒井抱一、鏑木清方といった名画家たちの花鳥画や美人画を楽しめる企画展示。

会場からも和の趣を感じられ、心穏やかに鑑賞できます。

池上秀畝《巨浪群鵜図》
日本画の掛け軸がずらりと並んでいる様子

古代ギリシア・ローマ大理石彫刻展

陶磁器や日本画のコレクションを有する美術館としては意外に思えるかもしれませんが、松岡美術館では古代の彫刻も収蔵しています。
古いものと新しいもの、東のものと西のもの、と型にはまらない自由なコレクションは、個人が設立した美術館ならではですね。

新たにコレクションに加わったローマ時代の彫刻《アルテミス》の常設展示にあわせて、古代ギリシア・ローマの大理石彫刻8点が出品されていました。

松岡美術館のコレクションを堪能できる展覧会!

清次郎の蒐集の歩みを深く知りながら、その想いにも触れられる展覧会。
手に入れるまでのエピソードも垣間見れば、作品の価値も改めて実感できます。

目の前の美術品を見て、何を感じるでしょうか。
「美しい」「きれい」「私もほしいなぁ!」……?
今は亡くなっている清次郎も同じように作品を眺めて、その素晴らしさに心打たれたのでしょう。
そんなひとりの人間の苦労や喜び、美術への愛情を想像すれば、作品鑑賞にも新たな感動が生まれるかもしれません。

入館した方には、「受付でのアンケート回答」「Twitterでハッシュタグ #松美の真髄 を付けた投稿の画面を提示」でポストカードの無料プレゼントがあります。
2つのキャンペーンは併用できるため、最大で2枚も貰える嬉しい特典です。

展示室内では撮影不可の作品がたくさんグッズ化されているのも嬉しい!

展覧会は4月17日まで。
ぜひ会場へ訪れて、“松美の真髄”をご覧ください。

展覧会情報
会期2022年01月26日(水)〜2022年04月17日(日)
住所〒108-0071 東京都港区白金台5丁目12−6
時間10:00~17:00(入館は16:30まで)
第1金曜日 10:00~19:00(入館は18:30まで)
休館日毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
観覧料一般1,200円/25歳以下500円(10名以上の団体は各100円引)
高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方 無料
TEL03-5449-0251
URL松岡美術館 公式サイト|https://www.matsuoka-museum.jp/
交通案内・東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台駅」1番出口から徒歩7分
・JR「目黒駅」東口から徒歩15分
・都営バス「目黒駅」東口バスターミナル2番のりば
 黒77:千駄ヶ谷駅前行 橋86:東京タワー行・赤羽橋駅前行・新橋駅前行、「東大医科研病院西門」下車 徒歩1分
ご案内

※会期・開館情報は状況により変更になることがあります。
最新情報は、美術館のホームページ、SNSをご覧ください。