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【展覧会レポート】豊島区立 熊谷守一美術館『特別企画展 熊谷守一美術館37周年展』

東京都・豊島区にある熊谷守一美術館が、開館から37周年を迎えます。

5月28日の開館記念日に先駆けて、毎年この時期に開かれているのが特別記念展です。

庭の緑が美しい5月、現地を訪れて展示を見ながら、作品にまつわるお話を伺いました。
この記事では、それらを通して感じられた展覧会のみどころについてご紹介します。

展覧会の公式フライヤー

『特別企画展 熊谷守一美術館37周年展』

毎年5月28日の開館記念日を挟むこの企画は、美術館の誕生日を祝うように開催されます。

今年は開館から37年目。「守一の庭」をテーマに、熊谷守一美術館の所蔵品だけでなく、守一の故郷である岐阜県中津川市付知町の「熊谷守一つけち記念館」からも貴重な所蔵作品をお借りしています。

守一の庭とは、いま美術館がある地にもともとあった熊谷宅の庭のこと。植物が好きだった守一は図鑑を見ながらいろいろな草花を採集し、庭のあちこちに植えていました。
大量の草木が生い茂る庭を見て、周囲に住んでいた人は「とてもここに人が住んでいるとは思えない」と驚いていたそうです。

晩年の守一は、この庭で見られる草木や花々を絵にしていきました。

こんな人におすすめ

・熊谷守一の絵をたくさん見てみたい!
・庭の花や鳥を描いた作品を見て、心を癒やされたい!
・大型展は疲れてしまうので、こぢんまりとした館でゆったりと展示鑑賞をしたい!

熊谷守一(くまがいもりかず)ってどんな人?

熊谷守一(くまがいもりかず)は岐阜県に生まれ、幼少期から画家を志していた人物です。
裕福な家庭に生まれ、のちに東京美術学校(現在の東京藝術大学)で絵を学びます。同級生には青木繁もいました。
在学中、実業家の父が亡くなり多額の借金を抱える苦難もありましたが、なんとか卒業したそうです。

自らの作品を手がけるほか、絵の先生もしていました。
しかし、彼の才能が認められるようになったのは60代以降のこと。それまでは絵を描いても売れない上に、守一には5人の子供がおり(うち3人は夭折)、苦労が尽きませんでした。

1977年に亡くなったあとは、1985年に守一の次女・熊谷榧(かや)が、45年間暮らした自宅兼アトリエの跡地に私設美術館を建てています。
これが、熊谷守一美術館のはじまりです。

展覧会のみどころ

展示会場は、1階〜3階それぞれの展示室です。
榧さんが解説を書いたキャプションもぜひじっくりと見てみましょう。

ここからは展示作品をご紹介しながら、その魅力をお伝えします。

作品を通して「守一の庭」を楽しめる

守一は、自邸の庭からモティーフを得たと思われる作品を数多く残しています。

1階の展示室は、庭をテーマにした作品がぐるりと1周並んだ空間。
四季折々の自然を感じられるように、同じ季節の絵を近くに置いているところにも注目です。

展示室の片隅にはチェロが。
守一は弦楽器を弾くのが趣味だったそうです。

油絵と言えばキャンバス地がメインの印象がありますが、守一は木の板に描いていました。
絵の具をほとんど混色しないクリアな色味が特徴的で、赤鉛筆や墨で縁取りをしたディティールにも個性が見られます。

守一らしさがよく表れた作品

守一が晩年のスタイルに行き着くまでには、墨絵を学んだことも大きいと言われています。
知人から墨絵をやってみるように言われた守一は、やがて自分の絵にも墨絵らしい線やタッチを取り入れるようになりました。

それ以前は、より油絵の特徴が際立った厚みのある作品も描いています。

守一の作品は、およそ10年単位で作風に変化が見られる。

守一は自分らしい作品を残す一方で、人から頼まれて作った作品も多く手がけています。
下の写真・右側の書は、守一の絵にはあまり見られない、鑑賞者へのメッセージ性が強い作品です。

あくまでも絵を主体としてきた守一ですが、こうした作品からは周囲からの人望や他者との繋がりも見てとれます。

熊谷守一《念ずれば花開く》
キャプションにはちょっと驚きの事実が書かれているので、ぜひ現地でご鑑賞を……!

2階展示室は庭の絵に限らず、守一のさまざまな年代における絵を多く展示しています。

人物画や風景画も見てみたい方は、これらの作品群も必見です。

3階展示室では守一のレアな遺品をお披露目

3階に上がると、守一の遺品が一面に展示されています。
もとは私設美術館だったとはいえ、このような遺品の展示は久しぶりとのこと。貴重な品々を見られます。

近くには展示解説の用紙も置いてあるため、見ながら展示を楽しんでみましょう。

守一が使っていた工具は、いろいろな工作に使っていたのだとか。絵を描くときに使う椅子も、自分で製作したそうです。
とても頑丈にできており、座ってみても1ミリも動かないくらい!

※実際の会場では座れません。近くで眺めてお楽しみください。

守一の工具箱

他には守一が使っていた画材や、パリで個展が開かれたときのポスター庭に植えられていた植物の一覧図など、守一を語る資料が豊富です。

実際に守一が読んでいたという、『牧野日本植物図鑑』も閲覧できます。

ショップではポストカードや書籍を販売中

受付まわりに並んだグッズは、どれも来館時のお土産にはぴったりです。
展示室内でもお目にかかれる作品は、素敵なポストカードにもなっています。

守一作品はポストカード映えも素敵!

併設されているカフェ「Cafe Kaya」では、美味しいコーヒーをいただけます。
店名の由来にもなった榧さんは、自身も絵や陶芸を多く手がける作家。榧さんの作った陶器で味わうコーヒーは、落ち着いたひとときをもたらしてくれます。

カフェの本棚にあるのは、守一や美術そのものに関する書籍の数々。手にとってお読みいただけます。

サクサクのクッキーには榧さんの字が使われている。
スタッフさんたちからは「榧フォント」と言われているのだとか!

熊谷守一美術館の37周年をお祝いしよう

穏やかな空間の中で、熊谷守一の作品や人柄を知れる機会。
この美術館を初めて訪れる人にもおすすめです。

展覧会は7月3日まで。夏の初めまで楽しめます。
豊島区に在住・在勤している人は入館料が100円引きになるため、ぜひ証明書を持っていってお得に観覧しましょう。

守一の世界を存分に堪能できる空間、ぜひお楽しみください。

展覧会情報
会期2022年4月12日(火)〜7月3日(日)
住所東京都豊島区千早2丁目27-6
時間10:30〜17:30(最終入館時間 17:00)
休館日毎週月曜日(祝日問わず)
観覧料一般700円(15人以上団体630円)、高・大学生300円、小・中学生100円、小学生未満無料
※障害者等手帳ご提示の方は100円(介助の方1名無料) 
※豊島区在勤・在住の証明をご提示の一般の方は600円でご覧いただけます
TEL03-3957-3779
URL豊島区立 熊谷守一美術館 公式サイト|http://kumagai-morikazu.jp/
交通案内http://kumagai-morikazu.jp/access-map/index.html
ご案内

※会期・開館情報は状況により変更になることがあります。

最新情報は、美術館のホームページ、SNSをご覧ください。

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