——国宝刀剣、ここに集う。
東京都・目白台にある永青文庫の令和4年度早春展は、刀剣がテーマ。
国宝全4口をはじめ、《刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定)》などの優れた名刀を蒐集エピソードとともに楽しめます。また、重要美術品や重要文化財にも指定されている、「肥後金工の鐔」をはじめとした美しい刀装具も必見です。
開幕直後の1月半ば、展覧会を見るべく現地へ。実際に会場を訪れて感じた見どころや、気になるコラボ情報を一挙にご紹介します。
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『揃い踏み 細川の名刀たち—永青文庫の国宝登場—』の概要
永青文庫の設立者・細川護立(ほそかわもりたつ)は、稀代の刀剣コレクターとしても知られます。
細川侯爵家で育った彼は、「御刀掛(おかたながかり)」として屋敷に出入りしていた肥後金工師の末裔・西垣四郎作(にしがきしろさく)や、刀剣愛好家の家政所職員が身近にいる環境で育ちました。
彼らとの交流を通して刀剣の目利きを学び、10代の頃から本格的に刀の世界へ足を踏み入れたのです。
刀の美しさはもちろん、護立と刀の出会いや入手までのいろいろなバックグラウンドがわかる展示となっています。
・美しい国宝刀剣や刀装具が見たい!
・推し刀に会いに行きたい!
・日本文化に触れて雅な気分を味わいたい!
音声ガイドの用意はありません。静かな環境でゆったりと鑑賞を楽しめます。
永青文庫があるのは東京都文京区の目白台。ここはかつて、細川家の広大な下屋敷があった場所です。
「永青」という名前も細川家にまつわる事物に由来しているのだとか。
そこへ昭和期に建てられた家政所が今では美術館となり、護立が集めた刀剣・書画・絵画など東洋美術の数々、細川家に関する資料が保管されています。
重要文化財である菱田春草《絹本著色黒き猫図》もここで所蔵しています。文化財修理プロジェクトとしてクラウドファンディングを実施していた作品ですね。
副館長の橋本麻里さんは日本美術の領域でご活躍されているライター・エディターでもあり、「刀剣乱舞ONLINE」の日本文化監修も務めています。
和文化にまつわる著書もいくつかご出版されています。
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展覧会のメインは刀剣と刀装具。
そこに護立のエピソードを絡めて、刀剣蒐集にまつわる物語を楽しめるのが本展の魅力です。
例えば、護立が刀剣に関心を持つきっかけにもなった人物・西垣四郎作に対して「おもしろいお爺さん」と言っていたり、十数年越しに《古今伝授の太刀》を手に入れた喜びを切々と語っていたりと、人間味が溢れていて親しみを感じられます。
約8年ぶりに国宝の刀全4口が揃う貴重な機会。
中でも《古今伝授の太刀》はほっそりとしなやかで美しい!
長さもあり、宝物と呼ぶにふさわしい品格に溢れています。シルバーでできているような透明感のある輝きに、彫刻も美麗。
また、国宝以外の刀剣も4階展示室にずらりと並んでいます。
独立ケースで前後左右から眺められる《歌仙兼定》は、骨太でがっちりした印象。
一見雅な銘とは裏腹に、えげつない逸話を持つことに納得できます。
他にも、一見の価値がある素晴らしい宝刀が揃っています。
単眼鏡で隅々まで観察するのがおすすめです!
第2・第3展示室では鐔や「三所物(みところもの)」と呼ばれる目貫(めぬき)・小柄(こづか)・笄(こうがい)の数々を見られます。
これらの刀装具も刀剣鑑賞をより楽しくする素敵なアイテム。
特に林又七が手がけた鐔は、重要美術品でもある《桜九曜紋透鐔》をはじめ、超絶技巧と美しさが凄まじい。
「どうやって作ったの?」と思うような精緻な美術品を心ゆくまで堪能できます。
他には《鶴丸紋透鐔》や《頼政鵺退治図三所物》など、刀剣ファンならハッとするような展示品も…
また、《道明寺図小柄》に書かれているのは、「恨みから人が鬼になる」事件を描いた物語。
キャプションでは明確に「鬼」と書いていませんでしたが、刀で鬼を切ると言えばあのアニメが思い浮かぶかもしれませんね。
なお、展示替えはありません。
一度の来訪で出展作品をすべて見られるのが嬉しいところです。
今回の展示は、刀剣が主役のオンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とさまざまなコラボレーションを実施しています。
公式サイトに載っているオフィシャル情報に加え、現地レポートもお届けします!
ミュージアムショップでは、永青文庫の公式オリジナルグッズの他にコラボ商品を販売しています。
通常はチケットカウンターがショップ窓口を兼ねていますが、今回はミュージアムショップが別館に移動しています。
現金のほかにクレジットカード、電子マネーも利用が可能です。
別館は歩いてすぐ、本館の向かい側にあります。
コラボグッズは、永青文庫の隣に広がる肥後細川庭園で販売しています。
こちらでは会計が現金かPayPayのみ。
肥後細川庭園を背景にした3振のイラストなど、貴重なアイテムは必見です。
文京区×刀剣乱舞ONLINEコラボレーションとして、「細川の名刀を巡る文のみち 〜目白台・関口の雅〜」が開催されています。
- 永青文庫周辺のスポットを巡るスタンプラリー
- 肥後細川庭園・ホテル椿山荘東京・東京シティアイ(KITTE)でのパネル展示
- ホテル椿山荘東京やリーガロイヤルホテル東京の特別宿泊プラン
スタンプラリーでは、4個以上集めるとA6サイズのコラボメモ帳がもらえます。

肥後細川庭園の「松聲閣(しょうせいかく)」2階で、3振の等身大パネル展示をしています。
写真撮影はもちろん自由!
パネルの横には描き下ろしイラストも展示されています。
お伴機能や散歩機能を使って遊ぶのもいいですね。

永青文庫のすぐ近くにある「ホテル椿山荘東京」で、スペシャルな講演会を開催します。
刀剣界隈では有名な、京都国立博物館・主任研究員の末兼俊彦先生と橋本麻里さんのトークが聞けます。
この2人、「ニコ美」でご覧になったことがある人も多いのではないでしょうか?
※抽選制・申し込み期間終了
会場では刀剣乱舞コラボレーションスイーツが提供され、もちろん展覧会の観覧付き。
なんとも豪華な企画です。
肥後細川庭園は四季折々の表情を見せる、美しい日本庭園です。
冬の景色は枯淡ながらも風情があり、早春ならではの澄み渡る空気を感じられます。
庭園のあちこちには花が咲き、開幕後すでに梅・椿・山茶花・水仙などが見頃に。
ここから春先にかけては桜が咲き、閉幕間際の5月には菖蒲が見られるかもしれません。ゴールデンウィークに差し掛かるため混雑が予想されますが、紫色の見事な菖蒲を見られるチャンスです。

松聲閣の中にある喫茶「椿」では、抹茶とお菓子を提供しています。
「加勢以多(かせいた)」という細川家ゆかりの献上菓子は、ここでしか食べられない特別な銘菓。
本物はマルメロという果実の羊羹を挟んでいますが、似ている花梨のジャムを使って再現しています。
松聲閣内で箱入りも販売していますので、お土産にもぴったりです。
その他、松聲閣でははと麦おこしなどの熊本ご当地アイテムも販売しています。是非お立ち寄りを…!


それこそ風流を愛する文系名刀「歌仙兼定」のように、雅なお茶の時間を過ごせる素敵な場所。
永青文庫が気に入った人には、年間パスポートや賛助会員などのサービスもおすすめです。購入・入会方法は永青文庫の公式サイトをご覧ください。
今回の特別な企画のために、しっかりと準備したい人へ。永青文庫や展覧会にまつわるQ&Aにお答えしていきます。
主な方法は次の5通りあります。
- JR目白駅からバス
- 副都心線雑司が谷駅からバス
- 都電荒川線早稲田駅から徒歩
- 有楽町線江戸川橋駅から徒歩
- 東西線早稲田駅から徒歩
おすすめは強いて言うなら、JR目白駅からバスのルートです。新宿駅や池袋駅などのターミナル駅に近いのでアクセスが良く、地下鉄と比べると地上のバス停まで辿り着きやすい。
江戸川橋駅からのルートは坂が多く、歩くのが大変かもしれません。
正直なところ、永青文庫の近くにはあまり飲食店がありません。
その中でもおすすめは「leckermaul(レッカーマウル)」。フラムクーヘンというドイツ生まれの白いピザが名物で、日本で唯一の専門店と謳われています。

左:ブラックフォレストベーコン/右:クラシック(ベーコンとオニオン)
スモーキー×香味の絶妙な組み合わせ!
ただし、お席が少なめ。スムーズに入店したい人は、目白駅周辺まで行ったほうがお店の選択肢が多めです。高田馬場方面に行けばファーストフードやラーメン屋などもあり、さらに充実しています。

エスニックが好きな人はここがおすすめです。
この展覧会では日時指定予約制をとっています。普段は予約制ではありませんが、コラボもあり人気が予想されることから予約必須となっているのでしょう。
「うっかり予約せずに来ちゃった……」という場合は時間枠の定員に空きがあれば入場できますが、すべて埋まっていることもあります。特に、土日祝日の来館を予定している人は注意しましょう!
予約は永青文庫の公式サイトからできます。
数は限られていますが、ロッカーがあるので鑑賞前に荷物を預けられます。
100円玉返却式なので、用意していくとスムーズです。
細川家が誇る名刀たちを惜しみなく見せる展覧会。
開催は5月7日(日)までです。
会場を訪れて、刀剣の魅力を直に感じてみて。
数々のコラボや日本庭園の美しい自然も楽しみながら、早春のお出かけにいかがでしょうか?
会期 | 2023年1月14日(土)〜2023年5月7日(日) |
住所 | 〒112-0015 東京都文京区目白台1-1-1 |
時間 | 10:00~16:30(入館は16:00まで) |
休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 一般:1,300円 大学・高校生:800円 ※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料 ※本展では、各種割引はご利用いただけません。 |
TEL | 03-3941-0850 |
URL | 永青文庫|https://www.eiseibunko.com/index.html |
交通案内 | JR目白駅(「目白駅前」バス停)・副都心線雑司が谷駅出口3(「鬼子母神前」バス停)より、 都営バス「白61 新宿駅西口」行きにて「目白台三丁目」下車徒歩5分。 都電荒川線早稲田駅より徒歩10分。 有楽町線江戸川橋駅(出口1a)より徒歩15分。 東西線早稲田駅(出口3a)より徒歩15分。 ※一般車両用駐車場はございません。周辺の有料駐車場をご利用ください。 |
