【展覧会レポート】アーティゾン美術館『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』

“ABSTRACTION”, それは抽象芸術作品のこと。

東京都・京橋アーティゾン美術館で、抽象絵画の大規模な展覧会が開催されています。国内外の美術館、個人コレクション等を含めた約250点を展示し、半分以上が新収蔵品を加えた石橋財団コレクションです。

開幕後のとある日、日本橋駅から歩いて現地へ。会場写真を交えながら展示の見どころを綴ります。

展示室入り口
会場内の写真について

※本展では一部作品を除いて撮影可能です。

『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』の概要

本展では抽象絵画が2つの大戦を経てから、さらに展開する様子を紹介しています。フランスを中心としたヨーロッパ、アメリカ、そして日本の動向を展観するもので、抽象絵画というジャンルの全貌とも言える様相を一挙に楽しめるのが魅力です。

こんな人におすすめ

・抽象絵画をとにかく沢山見たい!

・西洋のモダンでかっこいい、色鮮やかな近現代美術に触れたい!

・圧倒的なボリュームで見応えのある展覧会に行きたい!

アーティゾン美術館では、無料音声ガイドを利用して作品の解説を楽しめます。スマートフォンとイヤホンをお忘れなく。今回展はガイド付きの作品もかなり多くあります。

まずは、抽象絵画の歴史を知ろう。

本展を見るにあたって、抽象絵画の歴史や用語を知っておくと少し解像度が上がり、時代の流れを追いやすくなります。

展示の序盤にあたるのはベル・エポックの時代。19世紀末から第一次世界大戦が勃発するまでの間、フランスが平和と豊かさを享受できた時期を指します。綴りは“Belle Époque”と書き、フランス語で「美しい時代」を意味する言葉です。

芸術を生み出す活気と自由な雰囲気に満ち溢れた中で、「フォーヴィスム」「キュビスム」のような新しい芸術の潮流が生まれました。以下2つの単語は章立てのタイトルにも入っています。

名称説明
フォーヴィスムFauvismeとは「野獣派」を意味し、激しい色彩表現が特徴。写実主義とは対照的。
キュビスムCubismeとは「立体派」を意味し、点や線を使った幾何学的な表現が特徴。さまざまな面や角度から対象物を描く。
Section2「フォーヴィスムとキュビスム」展示風景より
Section2「フォーヴィスムとキュビスム」ジャン・メッツァンジェ《キュビスム的風景》1911-12年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

これらの新しい表現によって抽象絵画の制作が盛んになり、20世紀の美術表現を主導します。戦後は1960年代にかけて、「熱い抽象」「抽象表現主義」と呼ばれる新たな様式が誕生し、今に至ります。

ABSTRACTIONの見どころ

ABSTRACTIONでは抽象絵画の歴史を追いながら、著名な画家からあまり知られていない画家まで幅広く取り上げています。

フランス絵画における印象派の次世代を象徴する、ポール・セザンヌの作品から徐々に抽象絵画の世界が広がっていく空間を楽しみましょう。

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃 石橋財団アーティゾン美術館蔵
Section9「具体美術協会」展示風景より

アーティゾン美術館の全展示室を使用

本展は、アーティゾン美術館の展示室全3フロアを使った大規模な展示です。全12セクションのボリューミーな構成は、きっと高い満足度につながるのでは。

4階から6階が展示室となっているアーティゾン美術館では、通常の企画展で1〜2フロアを使い、別のフロアで同時開催の別展示やコレクション展を行うことが一般的です。しかし、今回は全部が『ABSTRACTION』の会場となり抽象絵画で全フロアを埋め尽くします

展示品リストもパンフレットのように分厚く、見応えは十分です。

ピート・モンドリアン《砂丘》1909年 石橋財団アーティゾン美術館蔵
横溝美由紀《crossing P150.080.2023-five elements, metal》他 2023年 作家蔵
津上みゆき《View, Water, A Leaf, 1:37pm 23 December 2022, 2023》他 2023年 作家蔵

新収蔵作品も多数展示

今回、新収蔵作品と呼ばれるコレクションが95作品出展されています。

新収蔵作品とは、アーティゾン美術館の前身であるブリヂストン美術館が休館した2015年以降に収蔵された作品を指します。抽象絵画の収集に力を入れてきたアーティゾン美術館のコレクションは、鑑賞者を贅沢に楽しませてくれる名品が豊富です。

ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924年 石橋財団アーティゾン美術館蔵
フランシス・ピカビア《アニメーション》1914年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

ABSTRACTION展で、抽象絵画の刺激をそこかしこから。

経営者は抽象絵画を好む、とよく言われます。写実的な色・形・意味から解放され、感覚や想像力を自由にする。まさにビジネスのアイデアを生み出す柔軟な思考のヒントであり、膨大な業務で忙しない日々に解放感をもたらす。抽象絵画にはそういう魅力があるように感じます。

展覧会は8月20日(日)まで。学生無料(要ウェブ予約)は本展でも変わりません。石橋財団コレクションの粋を中心とした、独創的な絵画の数々を是非お楽しみください。

展覧会情報
会期2023年6月3日[土] – 8月20日[日]
住所〒104-0031 東京都中央区京橋1-7-2 アーティゾン美術館 6・5・4階 展示室
時間10:00ー18:00(8月11日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日月曜日(7月17日は開館)、7月18日
観覧料一般:ウェブ予約チケット1,800 円 *クレジット決済のみ/窓口販売チケット2,000 円
大学生・専門学校生・高校生:無料 要ウェブ予約 入館時に学生証か生徒手帳をご提示ください。
障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名:無料 要ウェブ予約 入館時に障がい者手帳をご提示ください。
中学生以下の方:無料 予約不要
*ウェブ予約チケット:各入館時間枠の終了10分前まで販売。
*予約枠には上限があります。
*予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットをご購入いただけます。
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URLアーティゾン美術館|https://www.artizon.museum
交通案内JR東京駅(八重洲中央口)、東京メトロ銀座線・京橋駅(6番、7番出口)、東京メトロ・銀座線/東西線/都営浅草線・日本橋駅(B1出口)から徒歩5分
*ミュージアムタワー京橋駐輪場がビル東側にございます。美術館エントランス側から八重洲通りに沿ってお進み頂き、ビルの裏側にお回りください。(12基・2時間毎100円)
駐車場はございません。近隣の有料駐車場をご利用ください。
ご案内

※会期・開館情報は状況により変更になることがあります。

最新情報は、美術館・展覧会のホームページやSNSをご覧ください。