【旅ルポ】神奈川県小田原市で、小田原城下町の歴史を巡る旅

神奈川県小田原市は、かつて難攻不落の名城と恐れられた小田原城を中心に発展した城下町です。昭和35年(1960年)に江戸時代の姿に復元された小田原城は、現在では展示室や展望デッキを備えた人気の観光スポットに。城内には、戦国武将や彼らが携えた刀剣に関する展示もあり、歴史ファンにとってはたまらない魅力があります。

晩夏のある日、この歴史ある街を巡る小旅行へ。小田原城の歴史や見どころ、そして城下町の散策スポットなど、小田原の魅力を余すところなくご紹介します。

戦国絵巻の舞台、小田原城

小田原城

小田原城は、かつて関東一帯に勢力を誇った後北条氏の居城でした。

時は戦国、天下統一を目前にした豊臣秀吉は、小田原城を落とすべく20万を超える大軍を率いて小田原へと進軍。対する後北条氏は、難攻不落を誇る小田原城に籠り、3ヶ月にも及ぶ籠城戦を繰り広げます。天正18年(1590年)、秀吉の圧倒的な軍勢の前に、後北条氏はついに降伏。小田原城は落城し、後北条氏は滅亡しました。こうした小田原城の歴史は、城内の展示パネルや映像で詳しく紹介されています。

戦国時代の興亡を今に伝える小田原城は、ゲームや舞台など、さまざまなメディアにも取り上げられています。特に、PCブラウザ&スマホアプリゲーム『刀剣乱舞ONLINE』に登場する刀剣男士、江雪左文字・山姥切国広・山姥切長義・地蔵行平・日光一文字は、小田原に所縁のあるキャラクターです。

また、「刀ステ」の通称で親しまれる舞台『刀剣乱舞』の野外公演『外伝 此の夜らの小田原』の舞台にも選ばれました。2017年11月には、小田原城リニューアルオープン後の来場者100万人達成を記念して、特設ステージで一夜限りの特別公演を開催。小田原城は、戦国時代の歴史ロマンを感じさせてくれるだけでなく、ゲームや舞台といった新たな文化の発信地としても注目されています。

箱根の玄関口、小田原へ

東京都と神奈川県の境を流れる多摩川を小田急ロマンスカーで渡る

東京方面から小田原へのアクセスは、新宿駅から小田急ロマンスカーに乗るとあっという間。もちろん、小田急小田原線の急行や鈍行で向かうのも一興、新幹線に乗ればさらに快適に。電車の旅もまた、それぞれの趣があります。

小田原駅は東海道・山陽新幹線の停車駅でもあり、さらに西へ向かえば、雄大な自然に囲まれた箱根の地へ至ります。

まずは小田原城へ。日本刀の展示も見られる

小田原城は、小田原駅で下車したら歩いてすぐ。天守閣に登る際は有料のチケットが必要です。現地でも購入できますが、小田原城の公式サイトで事前にオンラインチケットを買っておくと便利です。

最上階にある展望デッキは、海と山の素晴らしい景色を一望できる最高のロケーション。相模湾の伊豆大島や江ノ島、丹沢や箱根の山々がよく見えます。

出口近くで立ち寄れるショップでは小田原城土産や戦国武将グッズ、箱根寄木細工の小物などが売っています。天守閣の他には「常盤木門SAMURAI館」でも刀剣・甲冑など武具の名品が見られるので、こちらもお見逃しなく。

お食事や休憩は「本丸茶屋」や「本丸売店」で。地元の特産品を使った名物料理が食べられます。 季節のイベント時には美味しいかき氷「みかん氷」が人気。

8月中旬〜下旬には南堀の蓮が見頃を迎えます。小田原城址公園は他にも、梅・桜・藤・花菖蒲など四季折々の花の名所として知られている場所です。

小田原の美味に舌鼓

旅の醍醐味のひとつは、その土地ならではのグルメを味わうこと。小田原城の付近には、風情のある茶店や定食屋さんが点在しており、散策しているとついつい立ち寄りたくなるお店に出会えるかもしれません。

小田原といえば、やはり鯵(あじ)が有名。漁港が近くにある小田原では、港から直送された新鮮な地魚を使った海鮮丼やお寿司などを味わうことができます。地魚を提供する店の一つ「小田原バル」では、アジフライ、刺身、鯵はんぺん、南蛮漬け、なめろうを堪能できる定食を。自家製辣油でいただくふわふわのアジフライは絶品。ウスターソースと混ぜても美味しい。レモンを絞り、サクサクの衣を浸して食べるのもまた美味です。

お酒好きには、地域限定クラフトチューハイもおすすめです。小田原レモン、小田原うめ、湘南ゴールドのチューハイをたっぷり飲めます。

(手前)小田原鯵ざんまい定食 1,880円(税込)、(奥)旬のフルーツドリンク 夏みかん のんある 320円(税込)

他にも、小田原には豊かな自然が育んだ数々の名産品があります。

  • 柑橘類(片浦レモン、みかん、湘南ゴールドなど)
  • かまぼこ(有名ブランド「鈴廣」「籠淸」など)
  • 小田原おでん
  • 干物(老舗ブランド「山安」など)
  • 梅干し
  • ういろう、和菓子

駅周辺の商業施設「ラスカ小田原」「ハルネ小田原」「ミナカ小田原」には、様々なお店が軒を連ねています。その中の一つ「金目鯛とくぞう」では、だし塩の試飲ができ、試食の金目鯛煮付けが絶品です。お気に入りのお店を見つけて、小田原の味を持ち帰ってみては。

「ミナカ小田原」は江戸情緒香る雰囲気が魅力的で、ぜひ行ってみてほしいのが「展望足湯庭園」。箱根湯本の天然温泉を足湯で楽しみながら、小田原城天守閣の展望デッキとほぼ同じ眺望を楽しめます。利用料は何と無料。遠くに小田原城の白い天守閣が見える眺めが美しい。

「ミナカ小田原」3階 金次郎広場

小田原から足を伸ばして、杉本博司のアートスポット「江之浦測候所」へ

小田原界隈には、訪れる者を静寂の世界へと誘う、特別な場所があります。現代美術作家・杉本博司氏が設計したランドスケープ「江之浦測候所」は、静謐さと美しい景色、そしてアート作品が調和する、まさに唯一無二の空間。相模湾を見渡せる高台に佇むこの場所は、訪れる者に深い安らぎと感動を与えてくれます。

小田原駅からJR東海道線で2駅乗り、根府川駅へ。「海の見える駅」として鉄道ファンにも人気のこの駅から、無料送迎バスまたはタクシーで江之浦測候所まで。駐車場があるので、車で行くことも可能です。

「海の見える駅」として鉄道ファンやフォトグラファーに人気の根府川駅

見学時間は1.5〜2時間ほど。基本は昼間のみの開放ですが、8月限定の「夕景の部」や秋の「満月の会」など、季節によっては特別な見学プログラムも用意されています。段差や未舗装路など歩きにくい箇所がいくつかあるので、スニーカーや履き慣れた靴をお忘れなく。

小田原で刀剣と歴史を巡る旅を楽しもう

小田原は都内から日帰りでも行ける近距離が魅力。もちろん、宿泊してゆったり過ごしたり、箱根や熱海・伊豆まで足を伸ばしたりしても楽しめます。刀剣と歴史の物語を巡る小田原の旅、ぜひ訪れてみては。

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