さつまがゆくhttps://satsumagayuku.comTue, 19 Nov 2024 08:19:01 +0000jahourly1https://satsumagayuku.com/wp-content/uploads/2024/05/cropped-satsumagayuku_logo-scaled-1-32x32.jpgさつまがゆくhttps://satsumagayuku.com3232 【展覧会レポート&作家インタビュー】ギャルリーためなが 木村佳代子「VIS VIVA FLORA」https://satsumagayuku.com/exhibition-report/946/Tue, 19 Nov 2024 08:15:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=946

木村佳代子氏(「VIS VIVA FLORA」会場にて撮影) 東京都・銀座のギャルリーためながでは、木村佳代子の個展「VIS VIVA FLORA(ヴィス・ヴィヴァ・フローラ)」展を、2024年11月9日(土)から202 ... ]]>

木村佳代子氏(「VIS VIVA FLORA」会場にて撮影)

東京都・銀座のギャルリーためながでは、木村佳代子の個展「VIS VIVA FLORA(ヴィス・ヴィヴァ・フローラ)」展を、2024年11月9日(土)から2024年12月8日(日)まで開催します。

アートフェアやグループ展では完売が続き、活躍が目覚ましい木村氏の新作約40点が一堂に。そして、イタリアの老舗フレグランスブランド「サンタ・マリア・ノヴェッラ」との特別なコラボレーションで、絵画とともに花の香りも楽しめます。本記事では開幕初日に行われた内覧会の様子を、作家インタビューを交えながらリポートします。

※主催者の許可を得て撮影をしています。

「VIS VIVA FLORA」会場風景より

花の美しさに圧倒され、宇宙に思い馳せる。

会場を華やかに彩るのは、木村氏が描いた数々の花たち。実際に対峙してみると、まずはその大画面に圧倒されます。そこに描かれた花の印象はどこか幽玄で独特です。

木村佳代子《Noble Tower 2024-04》

一般的に花の絵と聞いて、多くの人が想像するような力強さや迫力、生命力のイメージとは少し趣を異にする花たち。死生観や宇宙を感じさせるそれは、道端の花やフラワーショップの花のように身近で日常的なものよりも、もっと大きなものを思わせる存在。花のようでいて、これは花じゃないのかもしれない、そんな不思議な感覚におそわれます。

「花を通じて、世界の成り立ちや宇宙や命みたいなものを描いている」と木村氏は語ります。

(左から)木村佳代子《Noble Tower 2024-01》/木村佳代子《Luminescence 2024-01》

——もともとお花が好きでその感性ありきというよりは、「描きたいものが先にあって、それを表現できるのが花だった」ような感覚が近いのでしょうか。

そうですね。本展で販売している「FLORAISON フロレゾン 木村佳代子作品集」の序文にも書いたのですが、実は最初から花を描いてはいなかったんです。けれども3.11の震災を経て、「命って何だろう」と考えるようになりました。それまでの作品は抽象的な絵画が多かったのですが、やっぱりもう少し実体のあるものをきちんと描こうと思い、生と死を象徴するような切花を描くところから始めたのが最初ですね。

——花の茎が途中で切られているのは、切花のイメージからだったんですね。その茎、あるいは花弁が下に長く垂れている描写が特徴的だなと思いました。また、暗い背景の中に花だけが浮かんでいるような、浮遊感のある描き方も独特だなと感じます。

垂れている、落ちている姿にはいろいろな意味合いがありますが、その一つとして執着からの解放を表しています。重力や実体の重さから解放されたい欲求と、一方でそれらに執着している様を表現しています。浮かんでいる花はまさに解放や忘却を表したものです。

(左から)木村佳代子《Dance 2024-02》/木村佳代子《Dance 2024-01》/木村佳代子《Oblivion 2024-04》

サンタ・マリア・ノヴェッラの香水とコラボレーション

会場内では、まるで香水売り場のような美しいディスプレイも目を惹きます。本展ではサンタ・マリア・ノヴェッラ・ジャパンの協力で、木村氏の作品とフレグランスのコラボレーションが実現しました。花の名を冠した香水からイメージを膨らませて描いた、3点の絵画を実際の香りとともに堪能できます。

美しいフレグランスのディスプレイ

——今回のような、香りとコラボレーションした絵画やこのような形での展示は初めてですか。

はい。サンタ・マリア・ノヴェッラさんが販売しているお花の香水の中から、3つ選んで新作を描きました。私の作品は背景が暗めで強い印象の絵が多いのですが、いただいたサンプルが優しいフレグランスだったので、絵も優しい雰囲気にしようと思い、香りからイメージした色づかいやタッチで描こうと意識してみました。お題があると何か新しく自分の中で表現してみようと思うので、ありがたいですね。

木村佳代子《Noble Tower 2024-05》

“世界最古の薬局”として知られるサンタ・マリア・ノヴェッラの歴史は、1221年にイタリアのフィレンツェで始まりました。現在でも伝統を守りながら、上品な香りの数々を展開しています。会場で気に入った香りがあれば、ギャラリーでそのまま購入できるのも楽しさの一つ。あるいは、近隣にある銀座店でもお買い物ができます。

絵のインスピレーション源となったフレグランスをその場で試せる

力強よく生きる命だからこそ、同時にその終わりが色濃く浮かび上がるように、ふとした瞬間に誰しもが感じることのあるこの世界の「時間」「命」「死」。そして、それらを包括する「宇宙」。

見つめるほどに心に響くような深い魅力に満ちた作品を、この機会にぜひお楽しみください。

開催概要
会期2024年11月9日(土)〜2024年12月8日(日)
住所〒104-0061 東京都中央区銀座7-5-4 毛利ビル 1F
時間月〜土 11:00 – 19:00
日・祝 11:00 – 17:00
休廊日会期中無休
観覧料無料
TEL03-3573-5368
URLギャルリーためなが|https://www.tamenaga.com/ja/

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【記者発表会レポート】国立西洋美術館「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで」https://satsumagayuku.com/press-release/3984/Tue, 05 Nov 2024 05:30:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3984

東京・上野公園の国立西洋美術館では、2025年3月11日(火)から2025年6月8日(日)まで、「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」(略称「どこみる」展)を開 ... ]]>

東京・上野公園の国立西洋美術館では、2025年3月11日(火)から2025年6月8日(日)まで、「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」(略称「どこみる」展)を開催する運びとなりました。

展覧会タイトルには「西洋絵画を様々な角度から深掘りし、ここから見ると面白い!という皆様の発見をお手伝いする」との意味が込められています。本記事では、記者発表会を踏まえて本展の見どころについてご紹介します。

※主催者の許可を得て撮影および画像使用をしています。
※画像写真の無断転載を禁じます。

カリフォルニア州の最南端から西洋美術を発信。サンディエゴ美術館とは

アメリカのカリフォルニア州に位置するサンディエゴ美術館は、米国西海岸において最初期に収集された西洋古典絵画のコレクションを有する美術館です。

サンディエゴ美術館外観 Ⓒ San Diego Museum of Art

サンディエゴは、もともとスペインやキリスト教の布教と密接に結びついていた都市です。「18世紀後半に修道会の一つであるフランシスコ会(フランチェスコ会とも)のスペインの宣教師が、カリフォルニアで最初に布教のための拠点を作ったのがサンディエゴであり、それがこの街の出発点となっている」と、国立西洋美術館長の田中正之氏は解説しました。

こうした歴史を背景として、サンディエゴ美術館は充実したスペイン美術のコレクションを所蔵しています。

国立西洋美術館長の田中正之氏

また、スペイン美術に限らず、西洋美術の歴史を通覧する上でも重要な拠点として知られています。アメリカ西海岸で最初にヨーロッパの古典絵画を収集して、ある程度まとまったコレクションを形成したのはサンディエゴ美術館が最初です。

“Emulation and Admiration”が交わるとき。どこみる展の見どころ

本展では、サンディエゴ美術館と国立西洋美術館の所蔵品から約90点を文字通り掛け合わせて、ルネサンスから19世紀印象派までの600年にわたる西洋美術の歴史をたどります。本展の英語タイトルである“Emulation and Admiration”には、両館の西洋美術コレクションに対する意欲や憧れを表現したものです。

章構成はルネサンス、バロック、18世紀、19世紀とシンプルな時代順で、両館の関連しあう作品をペアや小グループごとに展示、比較します。

(左)マリー=ガブリエル・カペ《自画像》1783年頃、 油彩/カンヴァス、 国立西洋美術館/(右)マリー=ギユミーヌ・ブノワ《婦人の肖像》1799年頃、 油彩/カンヴァス、 サンディエゴ美術館 Ⓒ San Diego Museum of Art

一例として、本展では18世紀末のフランスで活躍した2人の女性画家の作品を並べて展示します。年齢もほぼ同世代の二人ですが、その作風は異なるもの。「カペ《自画像》のほうが十数年早く制作されたこともあってか、色づかいや装飾などが全体的に華やかでロココ的な雰囲気です。一方で、ブノワ《婦人の肖像》は簡潔なスタイルで肉体や人格の美しさをよりストレートに表そうとしている」と、本展監修を務めた国立西洋美術館・主任研究員の川瀬佑介氏は解説しました。

スペインにおける静物画の始祖、フアン・サンチェス・コターンの作品も見逃せません。静物画というジャンルは17世紀に初めて独立した地位を得て、各国で独自の伝統が芽生えました。スペインでは後に活躍するピカソやゴヤも、静物画を描いています。

フアン・サンチェス・コターン 《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》
1602年頃、 油彩/カンヴァス、 サンディエゴ美術館 Ⓒ San Diego Museum of Art

フランシスコ・デ・スルバランの作品5点が並ぶのも、珍しく貴重な機会です。「静謐な祈りの世界を描いた画家は、日本人のお客様にも親近感を持って見ていただけるのではないか」と川瀬氏は期待を寄せました。

フランシスコ・デ・スルバラン《聖母子と聖ヨハネ》
1658年、 油彩/カンヴァス、 サンディエゴ美術館 Ⓒ San Diego Museum of Art

国立西洋美術館にはない類の作品も、サンディエゴ美術館から多く来日する「どこみる展」。比べて見るからわかる西洋絵画の面白さに出会える、初めての美術鑑賞にもぴったりの展覧会です。

開催概要
会期2025年3月11日(火)~2025年6月8日(日)
住所〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7 国立西洋美術館[東京・上野公園]
時間9:30~17:30(金・土曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日月曜日、5月7日(水)(ただし、3月24日(月)、5月5日(月・祝)、5月6日(火・休)は開館)
観覧料観覧料(税込)
一般:当日2,300円 / 前売2,100円
大学生:当日1,400円 / 前売1,300円
高校生:当日1,000円 / 前売900円
TEL050-5541-8600 (ハローダイヤル)
URL展覧会公式サイト|https://art.nikkei.com/dokomiru/
交通案内JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分
京成電鉄京成上野駅下車 徒歩7分
東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車 徒歩8分

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愛知芸術文化センターで新感覚のデジタルアートパフォーマンス「0AR」を開催https://satsumagayuku.com/press-release/3942/Tue, 29 Oct 2024 04:00:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3942

愛知県名古屋市の愛知芸術文化センターでは、11月2日(土)よりイギリス拠点コンテンポラリーダンスによる新感覚のデジタルアートパフォーマンスイベント「0AR(ゼロ・エーアール)」をパブリックスペースで開催します。 「AΦE ... ]]>

愛知県名古屋市の愛知芸術文化センターでは、11月2日(土)よりイギリス拠点コンテンポラリーダンスによる新感覚のデジタルアートパフォーマンスイベント「0AR(ゼロ・エーアール)」をパブリックスペースで開催します。


愛知芸術文化センター発行フライヤー

AΦE(Aoi + Esteban)について

「AΦE(Aoi + Esteban, エーイー)」は、20年以上にわたり多くの定評あるダンスカンパニーでパフォーマンスを培ってきた中村葵と、エステバン・ルコックが結成したフィジカルシアターカンパニーです。

英国南東部ケント州を活動拠点とし、演劇体験の活気はそのままに、演者と観客をよりシームレスに繋ぐ手段として積極的にデジタルを創作に取り入れています。また、AΦEのスタジオA+E Lab(エーイー・ラボ)ではフィジカルからデジタルまで一貫した制作環境が整い、ワークショップなどを通して現代舞踏の枠を超えてダンスの裾野を広げる活動も行っています。

ARやVRを導入するなど、従来の舞台芸術の概念にとらわれないテクノロジーを駆使した作品で、前衛的かつ実験的な表現と構成が欧米を中心に高い評価を得ています。

©️AΦE

0AR(ゼロ・エーアール)とは

「0AR(ゼロ・エーアール)」は5カ国以上で26公演を実施した、AΦEの代表作ともいえる拡張現実ダンス作品です。

©️AΦE

ロンドンにある世界的に著名なダンス専門劇場「サドラーズ・ウェルズ劇場」から委託されて制作された本作品は、同劇場のアソシエイト・アーティストであるシディ・ラルビ・シェルカウイ、アクラム・カーン、作曲家ニティン・ソーニーと、イギリスの世界的彫刻家アントニー・ゴームリーとのコラボレーションによる2005年の画期的な作品「zero degrees」(ゼロ・ディグリース)を題材にしています。

「0AR」はAR(拡張現実)の技術を用いた作品で、鑑賞者は用意されたiPadを通して、現実世界に重ね合わせたCGのダンス・アニメーションや3Dの要素を取り入れた新感覚のダンス作品を体験します。映像や音楽に合わせて鑑賞者も自然と身体が動き、作品との一体感を得られます。

2018年の発表以降、彼らの本拠地イギリスはもとよりフランス、ドイツなどヨーロッパ5カ国以上の12都市、15会場で26公演を巡回し、4,212人の観客を動員しました。会場に用意されたiPadとヘッドフォンを用いて体験する気軽さと、言葉を超えたパフォーマンス画像は子供から大人まで幅広い層が驚きとワクワクを体験でき、今もなお反響が続いています。

©️AΦE

『0AR』は、テクノロジーを使って観客を作品の中心に持ってくる、という私たちの創作活動で一番探求している事に対するひとつの答えです。そのため、技術パートナーのエムブリオニックと一緒に、私たちが想像したものを実現するためのクリエイティブな解決策を探し、テクノロジーを私たちの特定のニーズに合わせて変化し制作していきました。私たちの意図は、決してゼロ・ディグリース舞台公演のデジタル版を作ることではありません。テクノロジーの限界に挑戦することで、作品を完成させ、観客の参加の要素を盛り込むことができました。

私たちは常に、テクノロジー、振付、観客の間に適切なバランスを見出すという課題を追求しています。サドラーズ・ウェルズ劇場から与えられた「ダンスの名作を題材に、新しいテクノロジーを使った作品を作る」という課題に挑戦する背中を押してくれたのは、この点でした。そして、『ゼロ・ディグリース』はまさに傑作。アクラム・カーン氏とシディ・ラルビ・シェルカウイ氏には、彼らから受けた特別なインスピレーションとサポートに感謝したいと思います。このプロジェクトに取り組めたことは光栄でしたし、『0AR』に対するお客さまの温かい反応を見ることができたことは、現在も続いている大きな成果です。


クリエイター「AΦE(エーイー)」より本作品について

0AR Trailer動画を見る

愛知公演の見どころ

11月2日(土)から4日(月・休)まで、愛知芸術文化センターの2階フォーラムII(パブリックスペース)で開催します。約10分間で最大5名が参加可能で、備え付けのiPadとヘッドフォンを使用してダンス作品の拡張世界をお楽しみいただけます。

iPadは複数でシェア可能なため、ご家族・ご友人とも同時で作品体験ができます。

※参加費無料
※予約不要(当日受付)
※お子様連れもお気軽にお越しください。
※今回、クリエイターの来日はございません。

また、本イベントはアート体験をしながら、久屋(栄北)の街の特徴や親しみが持てるポイントを再発見できる「久屋ぐるっとアート」のプログラムとして開催します。この秋は街をぐるっと回遊しながら、一風変わった芸術を体験してみてください。

0AR 体験イメージ
©️AΦE

iPadを使って、飛び出すダンサーと遊ぶ新感覚のアート体験を。小さなお子様から大人まで楽しめるAR(拡張現実)の短編ダンス作品です。5カ国12都市15会場を巡回し、大反響を呼んだ体験をぜひお楽しみください。

開催概要
公演名「0AR(ゼロ・エーアール)」(芸術監督:AΦE(エーイー))
日時2024年11月2日(土)〜2024年11月4日(月・休)
会場〒461-8525 名古屋市東区東桜 1-13-2 愛知芸術文化センター2F フォーラムII パブリックスペース(西玄関付近)
時間11:00〜16:00
※13:00〜14:00は休憩で受付のみ
※1回の体験時間は約10分
入場料無料
※当日会場にて先着順に受付します。
※おひとりでも、ご家族、ご友人と一緒でも体験できます。
TEL052-955-5506(10:00~18:00)
URLhttps://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/20241102.html
交通案内https://www.aac.pref.aichi.jp/access.html
主催愛知県芸術劇場
助成文化庁文化芸術振興費補助金 劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会

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【展覧会レポート】ホテル雅叙園東京「月百姿×百段階段~五感で愉しむ月めぐり~」https://satsumagayuku.com/exhibition-report/3910/Tue, 08 Oct 2024 06:00:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3910

ホテル雅叙園東京では、館内に有する東京都指定有形文化財「百段階段」にて「月百姿×百段階段~五感で愉しむ月めぐり~」を2024年10月5日(土)から2024年12月1日(日)まで開催します。 文化財「百段階段」では初となる ... ]]>

ホテル雅叙園東京では、館内に有する東京都指定有形文化財「百段階段」にて「月百姿×百段階段~五感で愉しむ月めぐり~」を2024年10月5日(土)から2024年12月1日(日)まで開催します。

文化財「百段階段」では初となる月をテーマにした企画展で、タイトルの由来は幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・月岡芳年が、月にちなんださまざまなモチーフを描いたシリーズ「月百姿(つきのひゃくし)」です。

本記事では、開幕前日に行われたメディア内覧会の様子をリポートします。

※主催者の許可を得て撮影をしています。

文化財の中で愉しむ浮世絵

まずは三日月のオブジェと秋の草花が彩るエントランスを通り過ぎ、1つ目の「十畝(じっぽ)の間」へ。ソファに腰掛ければ、まさに邸宅の客間のように落ち着いてくつろげます。

こだわりの展示空間は、浮世絵が描かれた当時に近い環境をできる限り再現したもの。まるで日本家屋の行燈の中で見るような浮世絵は、美術館の鑑賞時とは異なる趣が感じられます。

十畝の間 展示風景より

実は、すべての浮世絵に月が描かれているとは限りません。眺める人を描いて目線の先に月があることを表現するなど、日本らしい耽美的な味わい深さに満ちています。

十畝の間 展示風景より

ダイナミックな月アートと建築とのコラボレーション

ホテル雅叙園東京の中で最も絢爛豪華な部屋「漁樵の間」では、「月百姿」のひとつ「石山月」をモチーフに表現しています。この浮世絵に描かれているのは紫式部で、文学の寺として知られる石山寺に参詣した折、源氏物語が生まれたという伝承が残されています。

2024年夏の企画「和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~」にも登場した満月は、紙漉きの技術を応用して制作したものです。「今回はさらに大きな月を用意するために、規格外の枠を使って手漉きで和紙をつくり、落水という昔からの伝統技術を用いて月の表面を表しました」と作者の高山しげこさん。大河ドラマ「光る君へ」ではかつて紫式部も和紙を使っていた様子が描写されており、タイムリーな展示ともいえます。

漁樵の間 展示風景より
漁樵の間 展示風景より

「草丘の間」はまるで芳年の浮世絵に入り込んだかのように思わせる、ドラマティックな空間です。風音のSEとともにそよいで揺れる本物のススキは、秋の野原そのままの香りで五感を刺激します。繰り返し投影されるプロジェクションマッピングは、虫の音から始まり、煌々と輝く満月を映し出します。

草丘の間 展示風景より
静水の間 展示風景より(奥の間)

現代のアーティストによる月をモチーフにした作品を展示

近世の浮世絵だけではなく、現代のアーティストによる月の表現も味わえるのが本展の魅力です。まさに、現代の「月百姿」ともいえる作品の数々を見てみましょう。

岩谷晃太さんの《月と稲妻》は、白黒のはっきりとしたコントラストと稲妻がモダンで斬新です。古典的な日本画ではあまり使われない黒を主体にしつつ、技法は同じ岩絵具を用いていることが特徴的です。絵が飾られている床の間も、日本画を鑑賞するときの伝統的な風景でありながら、「3Dの空間を閉じ込めるような」絵画が新鮮な趣をもたらします。

静水の間 展示風景より(前室)

部屋の名前である星光、と響き合うような伊藤咲穂さんの作品は、「月の形そのものではなく、エネルギーや引力を表現した」といいます。花鳥風月というように、昔から月を愛でてきた日本人の感性にも改めて気づかされます。

星光の間 展示風景より
頂上の間 展示風景より

文化財ならではのお月見体験ができる、秋らしい企画です。文化財建築を照らし出す今昔の月が演出する、没入感たっぷりの世界をお愉しみください。

開催概要
会期2024年10月5日(土)〜12月1日(日)
住所〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1 ホテル雅叙園東京
時間11:00〜18:00(最終入館17:30)
休館日11月5日(火)展示替のため休館
観覧料一般 ¥1,600
大学生・高校生 ¥1,000
中学生・小学生 ¥800
※要学生証呈示、未就学児無料
※料金は税込みとなります。
TEL03-3491-4111(代表)
URLhttps://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event/tsukinohyakushi
交通案内目黒駅(JR山手線西口、東急目黒線、地下鉄南北線・三田線)より徒歩3分

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【展覧会レポート】山種美術館「没後50年記念 福田平八郎×琳派」https://satsumagayuku.com/exhibition-report/3869/Fri, 04 Oct 2024 01:00:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3869

福田平八郎《漣》 20世紀(昭和時代) 個人蔵 斬新な色と形を追求した日本画家・福田平八郎。彼は意匠性や装飾性に富んだ江戸時代の琳派に影響を受けていたといいます。このことに着目した特別展「没後50年記念 福田平八郎×琳派 ... ]]>

福田平八郎《漣》 20世紀(昭和時代) 個人蔵

斬新な色と形を追求した日本画家・福田平八郎。彼は意匠性や装飾性に富んだ江戸時代の琳派に影響を受けていたといいます。このことに着目した特別展「没後50年記念 福田平八郎×琳派」が、東京都渋谷区の山種美術館で12月8日(日)まで開催中です。

本記事では、内覧会のリポートをお届けします。

※主催者の許可を得て撮影をしています。

福田平八郎×琳派の共通点を見つけるのが面白さのひとつ

展示室で最初に目に飛び込んでくるのは、代表作のひとつ《筍》です。くっきりとした平坦な色づかい、大胆な構図、自然美をデザインに落とし込んだ背景の葉の描き方など、平八郎がいかに琳派に影響を受けていたかがわかります。

一方で、平八郎の作品には《牡丹》のように細密描写により写実を極めたものや、《鮎》のように静謐でシンプルな画面構成のものもあり、振り幅の大きさに驚きます。展示の前半は、そうした平八郎のさまざまな芸術表現を堪能できる空間です。

本展を監修した明治学院大学教授の山下裕二氏は、学生時代に福田平八郎の展覧会ポスターを偶然見た記憶を振り返り、「こんなかっこいい日本画があるんだ、と思って展示を見に行った」と語りました。まさに、日本画の中でも独創性の高い平八郎の表現力が見どころです。

福田平八郎《筍》 1947(昭和22)年 山種美術館
福田平八郎《桃》 1952(昭和27)年頃 個人蔵
福田平八郎《紅白餅三鶴》 1960(昭和35)年頃 個人蔵

そして、本展のもうひとつの柱となる琳派の優品からも目が離せません。俵屋宗達から始まった琳派は、密かに師として仰ぐ「私淑」という独特の文化から、酒井抱一や鈴木其一のような作家へと連なりました。これらの古典と平八郎の近代絵画はまったく異なるように見えて、共通するエッセンスをもっていることを本展は紹介しています。

展覧会の開催時期に合わせたような、秋を感じさせる優美な花鳥画には心癒やされます。

酒井抱一《秋草鶉図》 【重要美術品】 19世紀(江戸時代) 山種美術館
俵屋宗達《鹿に月図》 17世紀(江戸時代) 個人蔵
[絵] 俵屋宗達 [書] 本阿弥光悦《四季草花下絵和歌短冊帖》 17世紀(江戸時代) 山種美術館
酒井抱一《菊小禽図》 19世紀(江戸時代) 山種美術館
小林古径《秌采》 1934(昭和9)年 山種美術館

日本の四季の美しさを感じさせる絵画の数々は、ミュージアムショップで多彩なオリジナルグッズにもなっています。お土産選びも楽しみましょう。

出品作の《鹿下絵新古今和歌巻断簡》をモチーフにした携帯ルーペ 1,500円

Cafe 椿では展覧会に合わせた特製和菓子をご用意

山種美術館の「Cafe 椿」では、恒例の特製和菓子を用意しています。今回の5種類は、秋らしく色づく野山を連想させる季節感のあるラインナップです。

驚くのは作品の再現度の高さ! 中でも、福田平八郎《紅白餅》をモチーフにした「ことほぎ」は、絵のイメージそのままの淡い色づかいと形が愛らしい一品です。淡雪羹のなめらかな食感が心まで満たします。

福田平八郎《紅白餅》がモチーフの「ことほぎ」
小林古径《秌采》がモチーフの「里の秋」

福田平八郎と琳派、そのつながりと双方の芸術を楽しむ、秋のひとときを是非お過ごしください。

開催概要
会期2024年9月29日(日)~2024年12月8日(日)
住所〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
時間午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日月曜日 [10/14(月・祝)、11/4(月・振休)は開館、10/15(火)、11/5(火)は休館]
観覧料一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)

※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)一般1200円、左記いずれかのうち大学生・高校生1000円
※きもの特典:きものでご来館のお客様は、一般200円引き、大学生・高校生100円引きの料金となります。
※複数の割引・特典の併用はできません。
オンラインチケットのご購入はこちら。

相互割引サービスについて
下記チケットのご提示で入館料を100円割引いたします。山種美術館の入場受付時にご提示ください。
太田記念美術館との相互割引について
戸栗美術館との相互割引について
*いずれも対象券1枚につき1名様、1回限り有効。
*入館チケットご購入時に受付にご提示ください。購入後の割引はできません。
*他の割引との併用はできません。
*オンラインチケットは割引対象外。
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL山種美術館|https://www.yamatane-museum.jp/
交通案内https://www.yamatane-museum.jp/access/

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【展覧会レポート】森美術館「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」https://satsumagayuku.com/exhibition-report/3796/Tue, 01 Oct 2024 04:00:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3796

六本木ヒルズの巨大な蜘蛛の作者である、ルイーズ・ブルジョワの大規模個展が、2024年9月25日(水)から2025年1月19日(日)まで東京都・六本木の森美術館で開催中です。 ルイーズ・ブルジョワ(1911年パリ生まれ、2 ... ]]>

六本木ヒルズの巨大な蜘蛛の作者である、ルイーズ・ブルジョワの大規模個展が、2024年9月25日(水)から2025年1月19日(日)まで東京都・六本木の森美術館で開催中です。

ルイーズ・ブルジョワ(1911年パリ生まれ、2010年ニューヨークにて没)は、20世紀以降の美術史に大きな影響を与えた最も重要なアーティストの一人です。様々なアーティストに多大な影響を与えているブルジョワの芸術は、現在も世界の主要美術館で展示され続けています。

本記事では、開幕前日に行われたプレスプレビューの様子をお伝えします。

没後も評価が高まり続けるブルジョワを、27年ぶりに日本で紹介

自身の版画作品《聖セバスティアヌス》(1992年)の前に立つルイーズ・ブルジョワ。ブルックリンのスタジオにて。1993年
撮影:Philipp Hugues Bonan
画像提供:イーストン財団(ニューヨーク)

開幕に際し、森美術館館長の片岡真実氏は「2003年に六本木ヒルズができてから、大変多くの方が蜘蛛の彫刻をご存じである一方で、ルイーズ・ブルジョワはどういう作家なのか、あるいは他にどんな作品を作っているのかは、実は思ったほど知られていないと気がつきました」と企画当初を振り返りました。

日本では27年ぶり、また国内最大規模の個展となる本展では、約100点に及ぶ作品群を3章構成で紹介し、その活動の全貌に迫ります。

ルイーズ・ブルジョワは逆境を生き抜いた「サバイバー」

ルイーズ・ブルジョワは、横柄で抑圧的な父に愛憎を抱き、また病気の母を介護するヤングケアラーを務めながら、複雑な家庭環境で育ちました。20歳のときには母を亡くしたショックで自殺未遂を図り、大学の数学科をやめてアートの道に進むほど心に深く傷を負っています。

その“母”を象徴するモチーフとして蜘蛛が選ばれています。蜘蛛は卵を大切に守る愛情深い母であり、子どもたちに餌を与えるために捕食者として獲物を狙う攻撃的な存在でもあり、ブルジョワが着目した二面性を感じさせます。

ルイーズ・ブルジョワ《かまえる蜘蛛》2003年
撮影:Ron Amstutz
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

のちに3人の息子の母となるものの、ブルジョワ自身が母を求める気持ちは強かったことが窺えます。母子を描いた《授乳》について、森美術館キュレーターの椿 玲子氏は、「ここで注目すべき部分として、彼女はどちらかというと、母を常に必要としている赤ちゃんに自分を重ねて描いている」と解説しました。

父を亡くしてからは重い鬱病にかかり、精神分析を受けていました。父との確執は《父の破壊》のような作品に如実に表れています。

ルイーズ・ブルジョワ《父の破壊》1974年
所蔵:グレンストーン美術館(米国メリーランド州ポトマック)
撮影:Ron Amstutz
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

その他にも、幼い頃に父母の行為を見てトラウマを植え付けられる、父が不倫する、2度の世界大戦を経験する、夫を早くに亡くすなど、壮絶な人生を送った彼女。自分の内側にある怒りや攻撃性をアートで昇華しなければ、自分の家族にその矛先を向けてしまう、といった恐れからも作品制作に励みました。本展の副題「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」はハンカチに刺繍で言葉を綴った晩年の作品からの引用ですが、軽やかで前向きな力強さを感じさせつつ、そうでもしないと生きてはいけなかった人生の苦しみを想像せずにはいられません。

展示風景:「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」森美術館(東京)2024年
撮影:長谷川健太
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York, 2024.
ルイーズ・ブルジョワ《ヒステリーのアーチ》 1993年
所蔵:イーストン財団(ニューヨーク)
展示風景:「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」森美術館(東京)2024年
撮影:長谷川健太
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York, 2024.

地獄から帰ってきた、ルイーズ・ブルジョワを支えたもの

森美術館アソシエイト・キュレーターの矢作 学氏は、「ブルジョワは苦しみから完全に解放されること、もしくは過去のトラウマが完全に治癒することは、決して信じていなかったようです。それでも何度も何度も繰り返し、不安や恐怖などの心の痛みに立ち戻りながらそれと向き合い続け、自身の感情と記憶をアート作品として芸術の域まで高めることを98歳で他界するまで続けました」と解説しました。

晩年に制作した《トピアリーIV》は、ブルジョワの自画像的な作品ともいえます。痛みの中で足さえも失い、それでも傷口から生えた枝先を実らせ、松葉杖をついて立つ彫刻の姿は象徴的に見て取れます。

ルイーズ・ブルジョワ《トピアリーIV》1999年
撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

本展に際し、ショップでは会場限定のデザインを用意した図録を販売します。矢作氏は「ブルジョワの作品を所蔵している国内の美術館は少なく、特化した書籍があまりない。私たちとしては、長らく読んでもらいたいという一心で作りました」とアピールしました。

展示室の入り口にあるハンドアウトは、手に取って会場を歩くと作家や作品内容をよく理解できます。「もともと子ども向けに作りましたが、内容が大変素晴らしいので大人の方もぜひ参考にしてほしい」とおすすめのアイテムです。

アーティスト没後も世界中の主要美術館で個展が続き、評価が高まり続けている今、日本で開催されるルイーズ・ブルジョワの個展をぜひお楽しみください。

開催概要
会期2024年9月25日(水)~2025年1月19日(日)
住所〒106-0032 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
時間10:00~22:00
※火曜日のみ17:00まで
※ただし、2024年9月27日(金)・9月28日(土)は23:00まで、10月23日(水)は17:00まで、12月24日(火)・12月31日(火)は22:00まで
※最終入館は閉館時間の30分前まで
休館日会期中無休
観覧料※専用オンラインサイトでチケットを購入すると( )の料金が適用されます。
※音声ガイド付チケット(+600円)も販売しています。

[平日]
一般 2,000円(1,800円)
学生(高校・大学生)1,400円(1,300円)
子供(中学生以下)無料
シニア(65歳以上)1,700円(1,500円)

[土・日・休日]
一般 2,200円(2,000円)
学生(高校・大学生)1,500円(1,400円)
子供(中学生以下)無料
シニア(65歳以上)1,900円(1,700円)

※本展は、事前予約制(日時指定券)を導入しています。専用オンラインサイトから「日時指定券」をご購入ください。
※専用オンラインサイトはこちら
※当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでご入館いただけます。
※2024年12月30日(月)~2025年1月3日(金)は、[土・日・休日]料金となります。
※表示料金は消費税込
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL森美術館|www.mori.art.museum
交通案内http://art-view.roppongihills.com/jp/info/index.html

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【告知】日本女子大学 第43回ホームカミングデー「卒業生リレートーク」で登壇しましたhttps://satsumagayuku.com/work/3842/Wed, 25 Sep 2024 08:45:23 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3842

日本女子大学のOG組織、一般社団法人 日本女子大学教育文化振興桜楓会が日本女子大学と共催する「第43回ホームカミングデー」にさつま瑠璃が卒業生として参加しました。 大学の創立記念日である2024年4月20日(土)に開催さ ... ]]>

日本女子大学のOG組織、一般社団法人 日本女子大学教育文化振興桜楓会が日本女子大学と共催する「第43回ホームカミングデー」にさつま瑠璃が卒業生として参加しました。

大学の創立記念日である2024年4月20日(土)に開催された本イベント内の企画、「卒業生リレートーク」で登壇しています。

トークテーマは「私の卒業1年目 そして今」

卒業生リレートークは「私の卒業1年目 そして今」をテーマに、各世代の卒業生が集まって自身の卒業1年目を振り返るトークイベントです。

当日は卒業して間もない年次のOGから、数十年前に在学していた大先輩まで幅広い年代の卒業生が揃い、それぞれの思い出や現在の仕事について語りました。

2021年2月に竣工した新キャンパスの風景
NHK大河ドラマ「光る君へ」で和歌考証を務める高野晴代先生は、文学部日本文学科でお世話になった教授

コラム「私の卒業1年目」|2024年(令和6年)7月10日発行

トークイベントでお話をした内容の一部は、コラムとして広報紙「桜楓新報」に掲載されました。

全3回の美術コラム、単発のエッセイに続く5回目の掲載です。

企業やNPOなど法人で活躍する卒業生が多数を占める中で、私のようなフリーランスの専門職にお声掛けいただいたこと、深く感謝いたします。

今後も日本女子大学の益々の発展を、心からお祈り申し上げます。

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【告知】「桜楓新報」にエッセイが掲載されましたhttps://satsumagayuku.com/work/3830/Wed, 25 Sep 2024 07:15:14 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3830

日本女子大学のOG組織、一般社団法人 日本女子大学教育文化振興桜楓会が発行する広報紙「桜楓新報(おうふうしんぽう)」に、さつま瑠璃のエッセイが掲載されました。 ありがたいことに、全3回の連載「私の美術館探訪」に続く単発の ... ]]>

日本女子大学のOG組織、一般社団法人 日本女子大学教育文化振興桜楓会が発行する広報紙「桜楓新報(おうふうしんぽう)」に、さつま瑠璃のエッセイが掲載されました。

全3回のコラム連載に続く、美術探訪シリーズ

ありがたいことに、全3回の連載「私の美術館探訪」に続く単発のエッセイ寄稿をご依頼いただきました。

在校生・卒業生のみに郵送されている広報紙のため、Web上でコラム内容の掲載はできませんが、概要のみご紹介します。

アートをめぐる旅—瀬戸内国際芸術祭|2022年(令和4年)10月10日発行

2022年に開催された瀬戸内国際芸術祭を訪れ、3日間で3つの島をめぐるアート鑑賞の旅をした経験をもとに、エッセイ調の紀行文に仕上げました。

1日目は岡山県の宇野港から豊島へ、2日目は直島へ、3日目は犬島へ。それぞれの土地の印象を海の色になぞらえながら、心に残った風景を文章にしたためました。

エッセイでは当時の写真もご使用いただいています。

芸術的なデザインのJR宇野駅
直島にある地中美術館の入り口

卒業後もこのような形で母校に関わることができ、感謝の念に堪えません。

今後も日本女子大学の益々の発展を、心からお祈り申し上げます。

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【記者発表会レポート】大阪中之島美術館「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」https://satsumagayuku.com/press-release/1720/Wed, 25 Sep 2024 00:00:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=1720

大阪中之島美術館は日本・スイス国交樹立160周年(2024年)を記念し、スイスを拠点に活躍した日本とスイスのアーティストの吉川静子と、スイスのグラフィックデザイナーのヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの初めての大規模回顧展 ... ]]>

大阪中之島美術館は日本・スイス国交樹立160周年(2024年)を記念し、スイスを拠点に活躍した日本とスイスのアーティストの吉川静子と、スイスのグラフィックデザイナーのヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの初めての大規模回顧展「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」を、2024年12月21日(土)~2025年3月2日(日)の会期で開催することを発表しました。

本記事では、開幕に先立って在日スイス大使館で行われた記者発表会の様子をレポートします。

※主催者の許可を得て撮影をしています。

「私たちにとってのスイスのイメージを確定した2人の作家」

大阪中之島美術館は2022年にオープンして以来、20世紀から現在に至るまでのアートとデザインを収集し、コレクション周辺の展覧会活動をしています。

大阪中之島美術館・館長の菅谷富夫氏は「吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン、まさに私たちにとってのスイスのイメージを確定した2人の作家をご紹介する良い機会にしたい」と話しました。

大阪中之島美術館・館長の菅谷富夫氏

後援の次期駐日スイス大使のロジェ・ドゥバッハ氏は「二人の作品は日本の感性とスイスの精密さが融合し、対比する中で異なる文化的な視点と芸術的な手法との交差性(Space In-Between)を体現しています」と紹介しました。

後援の次期駐日スイス大使のロジェ・ドゥバッハ氏

吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマンとは

チューリッヒにて 1965年頃、Copyright and courtesy of the Shizuko Yoshikawa and Josef Müller-Brockmann Foundation

吉川静子(1934-2019)とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン(1914-1996)は、それぞれ進むべく道を開拓しながら、夫婦として創造的な生涯を共にした芸術家です。

吉川はデザイナーから芸術家へと転身し、人生の大半をスイスで過ごした教養ある芯の強い女性です。1960年代・70年代に、抽象絵画と彫刻により女性芸術家として注目されました。

ミューラー=ブロックマンは、1950年代以降スイスを代表するデザイナーとして国際的に知られる人物です。紙面における文字組みと構成の方法論についてまとめ命名した「グリッドシステム」は、デザイン史上の金字塔というべき理論として今日まで大きな影響を与え続けています。

展覧会の見どころ

スイスから約130点が来日し、日本初お披露目となる吉川の作品は色彩が魅力のひとつです。大阪中之島美術館・主任学芸員の平井直子氏は「デザイン教育を受けた素地を生かして、補色の関係にある色彩で構成している」と解説します。

吉川静子《m433 宇宙の織りもの―光輝ある 3》1991/1993年、吉川静子とヨゼフ・ミューラー・ブロックマン財団蔵、Copyright and courtesy of the Shizuko Yoshikawa and Josef Müller-Brockmann Foundation

一つの転換点といえるのは、初めて具象的なモチーフを使った太陽の作品群です。夫を亡くして精神的に大きな痛手を抱えていた中で、ローマの太陽の生命力に感銘を受けて制作しました。その後、シルクロードをテーマにしたシリーズに取り組んでいます。

吉川静子《z606 ローマ》1998年、吉川静子とヨゼフ・ミューラー・ブロックマン財団蔵、Copyright and courtesy of the Shizuko Yoshikawa and Josef Müller-Brockmann Foundation
吉川静子《m780 lebensplus 16》2011/2012年、吉川静子とヨゼフ・ミューラー・ブロックマン財団蔵、Copyright and courtesy of the Shizuko Yoshikawa and Josef Müller-Brockmann Foundation

ミューラー=ブロックマンの約60点の作品は、洗練されたタイポグラフィーと「グリッドシステム」によるグラフィックデザインが見どころです。

ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン《ムジカ・ヴィヴァ 1972》1972年、大阪中之島美術館蔵、©Museum für Gestaltung Zurich, Switzerland

また、時代の先駆者となったヴィジュアル表現も必見です。平井氏は「まだポスターで写真を印刷することがほぼ行われていなかった時代に、フォトコラージュの技法で写真をポスターに合成した《作品名》は、非常に斬新で先進的なデザイン」と評価しています。

ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン《スイス自転車クラブ 子供を守れ!》1953年、サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)、©Museum für Gestaltung Zurich, Switzerland

デザインとアートの豊かな融合を楽しめる本展。吉川とミューラー=ブロックマンの没後初、世界初の大規模な回顧展は、大阪中之島美術館のみの開催となります。

2024年11月22日(金)10:00からはお得な前売ペアチケット(一般2枚セット券)2,900円(税込)も発売されます。ぜひご注目ください。

開催概要
会期2024年12月21日(土)〜2025年3月2日(日)
住所〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 大阪中之島美術館 5階展示室
時間10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日毎週月曜日、12月31日(火)、2025年1月1日(水・祝)、14日(火)、2月25日(火)
※2025年1月13日(月・祝)、2月24日(月・休)は開館
観覧料一般  1,700円(前売・団体 1,500円)
高大生  1,100円(前売・団体 900円)
※中学生以下無料
※税込価格。
※前売券販売期間:2024年11月22日(金)10:00〜12月20日(金)23:59まで
TEL06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)受付時間8:00〜21:00
URL大阪中之島美術館|https://nakka-art.jp/exhibition-post/sib-2024/
交通案内https://nakka-art.jp/visit/access/
主催大阪中之島美術館
特別協力Shizuko Yoshikawa and Josef Müller-Brockmann Foundation
後援在日スイス大使館 / Vitality.Swiss
助成一般財団法人 安藤忠雄文化財団

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【展覧会レポート】泉屋博古館東京 特別展「昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」https://satsumagayuku.com/exhibition-report/3776/Tue, 24 Sep 2024 08:00:00 +0000https://satsumagayuku.com/?p=3776

板谷梅樹《三井用水取入所風景》昭和29(1954)年 板谷波山記念館蔵 昭和時代、モダーンなモザイク作品で人々を魅了した板谷梅樹。梅樹が手掛けたエキゾチックなモザイク額、美しい飾筥やペンダントヘッドなどの愛らしい装飾品を ... ]]>

板谷梅樹《三井用水取入所風景》昭和29(1954)年 板谷波山記念館蔵

昭和時代、モダーンなモザイク作品で人々を魅了した板谷梅樹。梅樹が手掛けたエキゾチックなモザイク額、美しい飾筥やペンダントヘッドなどの愛らしい装飾品を紹介する企画「昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」が、泉屋博古館東京で開催されています。

本記事では開幕前日に行われた内覧会の様子をレポートします。

※主催者の許可を得て撮影をしています。

昭和モダンのアーティスト・板谷梅樹とは

板谷梅樹(いたや・うめき、1907-1963)は近代陶芸の巨匠・板谷波山(いたや・はざん、1872-1963)の息子で、父が砕いた陶片の美しさに魅了され、20代半ばから陶片を活用したモザイク画の制作を志します。

梅樹作品は綿密な作業と時間を要するため、残された作品は決して多くなく、やがてモザイク作家・板谷梅樹の名は忘れられていきました。しかし近年、昭和モダンのアーティストとして、その再評価の機運が高まっています。

重要文化財 板谷波山《葆光彩磁珍果文花瓶》大正6(1917)年 泉屋博古館東京
*泉屋博古館東京のみ出展

完璧主義だったという波山は失敗作を世に残したくない思いからか、いくつもの器を割って陶片にしてしまったというエピソードが残されています。この陶片の形や色彩は梅樹の原風景であり、のちの創作につながったのではないかと想像されるものです。

同様の陶片は2022年に泉屋博古館東京で開催された「特別展 生誕150年記念 板谷波山の陶芸」にも出品され、実はこの展覧会が板谷梅樹を紹介するきっかけになったというのが驚きです。

板谷波山の陶片・梅樹のものと思われるガラス片 板谷波山記念館

日常をいろどるモザイクの世界

梅樹の作品はどれも清新な色彩と可憐な意匠にあふれ、その愛らしい昭和モダーンを思われるビジュアルは落ち着いた展示空間によく映えています。

板谷梅樹《飾皿》昭和20年代 個人蔵
≪展示室1≫ 第Ⅰ章 モザイクの世界で 会場風景より

梅樹の代表作といえば旧日本劇場一階玄関ホールの巨大なモザイク壁画(昭和8年作、原画:川島理一郎)で、当時話題となりました。しかし、戦火をくぐり抜けたにもかかわらず、戦後に取り壊されてしまい現存していません。今回出品されている壁画の下絵は、今はなき姿を偲ぶ非常に貴重な作品です。

≪展示室1≫ 第Ⅰ章 モザイクの世界で 会場風景より

18歳のときに大学に入学した梅樹は、その後に単身でブラジルに渡ります。梅樹作品のビビッドな色づかいや南米風の色彩感覚を思わせる配色は、このときの渡航経験に影響されているのかもしれません。

板谷梅樹《飾箱》昭和10年代 個人蔵
板谷梅樹《飾皿》昭和20年代 個人蔵
板谷梅樹《ペーパーナイフ》昭和20年代 板谷波山記念館
板谷梅樹《飾皿》昭和20年代 個人蔵

また、梅樹はステンドグラス作家の小川三知に習い、ステンドグラスの技術も短期間で習得しました。アール・デコ風の窓は実際に使われていたもので、レトロなデザインに思わず魅了されます。

板谷梅樹《花》昭和3(1928)年頃 個人蔵

そして本展で見逃せないのが、父・板谷波山との競演です。梅樹が制作したランプシェードの台座は、おそらく波山の失敗作と思われる器を再利用したもの。現存する作品群の中でも貴重な、親子の美的感覚が組み合わさった一品です。

(上)板谷梅樹《ランプシェード(台座:板谷波山)》昭和10年代 (山)長谷川コレクション

同時開催「特集展示 住友コレクションの茶道具」

板谷波山のパトロン的存在であり、泉屋博古館東京のコレクションを築いた住友春翠は、茶の湯もたのしみ、近代の数寄者としても知られる文化的造詣の深い人物でした。

展示室4では同時開催の企画で、春翠の美意識の一端を感じ取れる茶道具を紹介しています。

(右)《黄天目 銘 鷰》元時代・14世紀 泉屋博古館東京

展覧会は9月29日(日)まで開催中です。美術館初の板谷梅樹回顧展で、ノスタルジックな香り漂うモザイクの世界をお楽しみください。

開催概要
会期2024年8月31日(土)〜2024年9月29日(日)
住所〒106-0032 東京都港区六本木1丁目5番地1号
時間11:00~18:00 
※金曜日は19:00まで開館 
※入館は閉館の30分前まで
休館日月曜日、9月24日(火) ※9月23日(月・祝休)は開館
観覧料一般1,200円(1,000円)、高大生800円(700円)、中学生以下無料
※オンラインチケット販売あり
※20名様以上の団体は( )内の割引料金
※障がい者手帳等ご呈示の方はご本人および同伴者1名まで無料
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL泉屋博古館東京|https://sen-oku.or.jp/tokyo/
交通案内https://sen-oku.or.jp/tokyo/facility_t/access_t/

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