【冒頭画像】チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》 1888年 ウスター美術館
印象派といえば19世紀フランスやモネ、とイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、国外からも多くの画家が集った当時のパリでは、様々な画家たちが印象派に触れて学び、新しい絵画の表現方法を自国へ持ち帰りました。そうしてヨーロッパやアメリカへ印象派がもたらした衝撃と影響をたどる展覧会が、八王子にある東京富士美術館で開催されています。
東京都美術館、郡山市立美術館で好評を博した巡回展です。本記事では、7月5日(金)に開催されたプレス内覧会の様子をレポートします。
※主催者の許可を得て撮影をしています。
多くの画家たちを魅了した、印象派の世界。
展示室に入ると、まずお目見えするのはモネの《睡蓮》を大きく投射した空間。近年で話題に上ることも多い、イマーシブ(没入型)の展示を楽しめます。
本展に並ぶ作品は、すべてアメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館の所蔵品です。ウスター美術館は、1898年の開館当初から印象派の作品を積極的に収集してきました。今回見られる作品は、ほとんどが初来日となる同館の印象派コレクションです。
第一章では「伝統への挑戦」と題し、真実の姿に迫りつつもときに理想化されて描かれた風景画の台頭を、ヨーロッパとアメリカの主要な画家たちの作品によって紹介します。
光溢れる明るい画面や軽やかな筆致、澄んでいて豊かな色彩を引き立たせる、淡い色味の壁紙も展示の世界観を演出しています。
世界で初めてモネの《睡蓮》を購入した、ウスター美術館
ウスター美術館は、世界で初めてモネの《睡蓮》を購入した美術館として知られています。その収蔵を巡る物語も、クロード・モネと美術館の往復書簡を展示しながら解説しています。
モネからアメリカへ—印象派の広がり
20世紀においても芸術の中心地であり続けたパリの印象派は、やがて国際的な広がりを見せます。留学した画家たちは帰国後、印象派のスタイルを自らの芸術に取り込み、より粗い筆触や明るい色彩、現代的な主題を取り入れて新たな芸術の中心地を形成し始めました。
印象派はやがて、アメリカでも人気を博します。そして、多くのアメリカ人画家がヨーロッパで学び、明るい色彩を取り入れるようになりました。アメリカの印象派を代表するチャイルド・ハッサムもその一人です。彼らは印象派を独自に解釈し、個々の表現方法を生み出していきました。
ウスターで生まれ育ち、その地を拠点としたジョゼフ・H・グリーンウッドが描いたリンゴのような木は、今でもウスターで見ることができます。
やがてポスト印象派の時代に入ると、印象派から進化した新しいスタイルが次々と生み出されました。彼らは様々な風景を捉え、技法と主題の両面で探究精神を持ち、まだ見ぬ景色を求めていったのです。
限定コラボグッズやオリジナルグッズも見逃せない
ミュージアムショップでは展覧会図録をはじめ、本展でしか買えない限定コラボグッズやオリジナルグッズを数多く用意しています。特に、モネの《睡蓮》をモチーフにした淡い水色のグッズは、つい手に取りたくなる可愛さが魅力。バリエーションも豊富です。
また、ウスター美術館の名前にちなんだ、「ウスター展ソース」もここで購入できます。
2024年は、第1回印象派展から150周年を迎える年です。この機会に、これまで日本で紹介される機会の少なかった、知られざるアメリカ印象派の力に触れてみませんか。
会期 | 2024年7月6日(土)~2024年9月29日(日) |
住所 | 〒192-0016 東京都八王子市谷野町492-1 東京富士美術館 企画展示室 |
時間 | 10:00~17:00(16:30 受付終了) |
休館日 | 毎週月曜日、7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(日) (7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館) |
観覧料 | 大人1,500(1,200)円、大高生900(800)円、中小生500(400)円、未就学児無料 ※新館常設展示室もご覧になれます ※( )内は各種割引料金[20名以上の団体、65歳以上の方、当館公式SNS登録者ほか] ※土曜日は中小生無料 ※障がい児者、付添者1名は通常料金の半額[証明書をご提示ください] |
TEL | 042-691-4511 |
URL | 東京富士美術館|https://www.fujibi.or.jp/ |
交通案内 | https://www.fujibi.or.jp/visit/getting-here/ |