【展覧会レポート】山種美術館「没後50年記念 福田平八郎×琳派」

福田平八郎《漣》 20世紀(昭和時代) 個人蔵

斬新な色と形を追求した日本画家・福田平八郎。彼は意匠性や装飾性に富んだ江戸時代の琳派に影響を受けていたといいます。このことに着目した特別展「没後50年記念 福田平八郎×琳派」が、東京都渋谷区の山種美術館で12月8日(日)まで開催中です。

本記事では、内覧会のリポートをお届けします。

※主催者の許可を得て撮影をしています。

福田平八郎×琳派の共通点を見つけるのが面白さのひとつ

展示室で最初に目に飛び込んでくるのは、代表作のひとつ《筍》です。くっきりとした平坦な色づかい、大胆な構図、自然美をデザインに落とし込んだ背景の葉の描き方など、平八郎がいかに琳派に影響を受けていたかがわかります。

一方で、平八郎の作品には《牡丹》のように細密描写により写実を極めたものや、《鮎》のように静謐でシンプルな画面構成のものもあり、振り幅の大きさに驚きます。展示の前半は、そうした平八郎のさまざまな芸術表現を堪能できる空間です。

本展を監修した明治学院大学教授の山下裕二氏は、学生時代に福田平八郎の展覧会ポスターを偶然見た記憶を振り返り、「こんなかっこいい日本画があるんだ、と思って展示を見に行った」と語りました。まさに、日本画の中でも独創性の高い平八郎の表現力が見どころです。

福田平八郎《筍》 1947(昭和22)年 山種美術館
福田平八郎《桃》 1952(昭和27)年頃 個人蔵
福田平八郎《紅白餅三鶴》 1960(昭和35)年頃 個人蔵

そして、本展のもうひとつの柱となる琳派の優品からも目が離せません。俵屋宗達から始まった琳派は、密かに師として仰ぐ「私淑」という独特の文化から、酒井抱一や鈴木其一のような作家へと連なりました。これらの古典と平八郎の近代絵画はまったく異なるように見えて、共通するエッセンスをもっていることを本展は紹介しています。

展覧会の開催時期に合わせたような、秋を感じさせる優美な花鳥画には心癒やされます。

酒井抱一《秋草鶉図》 【重要美術品】 19世紀(江戸時代) 山種美術館
俵屋宗達《鹿に月図》 17世紀(江戸時代) 個人蔵
[絵] 俵屋宗達 [書] 本阿弥光悦《四季草花下絵和歌短冊帖》 17世紀(江戸時代) 山種美術館
酒井抱一《菊小禽図》 19世紀(江戸時代) 山種美術館
小林古径《秌采》 1934(昭和9)年 山種美術館

日本の四季の美しさを感じさせる絵画の数々は、ミュージアムショップで多彩なオリジナルグッズにもなっています。お土産選びも楽しみましょう。

出品作の《鹿下絵新古今和歌巻断簡》をモチーフにした携帯ルーペ 1,500円

Cafe 椿では展覧会に合わせた特製和菓子をご用意

山種美術館の「Cafe 椿」では、恒例の特製和菓子を用意しています。今回の5種類は、秋らしく色づく野山を連想させる季節感のあるラインナップです。

驚くのは作品の再現度の高さ! 中でも、福田平八郎《紅白餅》をモチーフにした「ことほぎ」は、絵のイメージそのままの淡い色づかいと形が愛らしい一品です。淡雪羹のなめらかな食感が心まで満たします。

福田平八郎《紅白餅》がモチーフの「ことほぎ」
小林古径《秌采》がモチーフの「里の秋」

福田平八郎と琳派、そのつながりと双方の芸術を楽しむ、秋のひとときを是非お過ごしください。

開催概要
会期2024年9月29日(日)~2024年12月8日(日)
住所〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
時間午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日月曜日 [10/14(月・祝)、11/4(月・振休)は開館、10/15(火)、11/5(火)は休館]
観覧料一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)

※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)一般1200円、左記いずれかのうち大学生・高校生1000円
※きもの特典:きものでご来館のお客様は、一般200円引き、大学生・高校生100円引きの料金となります。
※複数の割引・特典の併用はできません。
オンラインチケットのご購入はこちら。

相互割引サービスについて
下記チケットのご提示で入館料を100円割引いたします。山種美術館の入場受付時にご提示ください。
太田記念美術館との相互割引について
戸栗美術館との相互割引について
*いずれも対象券1枚につき1名様、1回限り有効。
*入館チケットご購入時に受付にご提示ください。購入後の割引はできません。
*他の割引との併用はできません。
*オンラインチケットは割引対象外。
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL山種美術館|https://www.yamatane-museum.jp/
交通案内https://www.yamatane-museum.jp/access/

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