東京・上野公園の国立西洋美術館では、2025年3月11日(火)から2025年6月8日(日)まで、「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」(略称「どこみる」展)を開催する運びとなりました。
展覧会タイトルには「西洋絵画を様々な角度から深掘りし、ここから見ると面白い!という皆様の発見をお手伝いする」との意味が込められています。本記事では、記者発表会を踏まえて本展の見どころについてご紹介します。
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カリフォルニア州の最南端から西洋美術を発信。サンディエゴ美術館とは
アメリカのカリフォルニア州に位置するサンディエゴ美術館は、米国西海岸において最初期に収集された西洋古典絵画のコレクションを有する美術館です。
サンディエゴは、もともとスペインやキリスト教の布教と密接に結びついていた都市です。「18世紀後半に修道会の一つであるフランシスコ会(フランチェスコ会とも)のスペインの宣教師が、カリフォルニアで最初に布教のための拠点を作ったのがサンディエゴであり、それがこの街の出発点となっている」と、国立西洋美術館長の田中正之氏は解説しました。
こうした歴史を背景として、サンディエゴ美術館は充実したスペイン美術のコレクションを所蔵しています。
また、スペイン美術に限らず、西洋美術の歴史を通覧する上でも重要な拠点として知られています。アメリカ西海岸で最初にヨーロッパの古典絵画を収集して、ある程度まとまったコレクションを形成したのはサンディエゴ美術館が最初です。
“Emulation and Admiration”が交わるとき。どこみる展の見どころ
本展では、サンディエゴ美術館と国立西洋美術館の所蔵品から約90点を文字通り掛け合わせて、ルネサンスから19世紀印象派までの600年にわたる西洋美術の歴史をたどります。本展の英語タイトルである“Emulation and Admiration”には、両館の西洋美術コレクションに対する意欲や憧れを表現したものです。
章構成はルネサンス、バロック、18世紀、19世紀とシンプルな時代順で、両館の関連しあう作品をペアや小グループごとに展示、比較します。
(左)マリー=ガブリエル・カペ《自画像》1783年頃、 油彩/カンヴァス、 国立西洋美術館/(右)マリー=ギユミーヌ・ブノワ《婦人の肖像》1799年頃、 油彩/カンヴァス、 サンディエゴ美術館 Ⓒ San Diego Museum of Art
一例として、本展では18世紀末のフランスで活躍した2人の女性画家の作品を並べて展示します。年齢もほぼ同世代の二人ですが、その作風は異なるもの。「カペ《自画像》のほうが十数年早く制作されたこともあってか、色づかいや装飾などが全体的に華やかでロココ的な雰囲気です。一方で、ブノワ《婦人の肖像》は簡潔なスタイルで肉体や人格の美しさをよりストレートに表そうとしている」と、本展監修を務めた国立西洋美術館・主任研究員の川瀬佑介氏は解説しました。
スペインにおける静物画の始祖、フアン・サンチェス・コターンの作品も見逃せません。静物画というジャンルは17世紀に初めて独立した地位を得て、各国で独自の伝統が芽生えました。スペインでは後に活躍するピカソやゴヤも、静物画を描いています。
フランシスコ・デ・スルバランの作品5点が並ぶのも、珍しく貴重な機会です。「静謐な祈りの世界を描いた画家は、日本人のお客様にも親近感を持って見ていただけるのではないか」と川瀬氏は期待を寄せました。
国立西洋美術館にはない類の作品も、サンディエゴ美術館から多く来日する「どこみる展」。比べて見るからわかる西洋絵画の面白さに出会える、初めての美術鑑賞にもぴったりの展覧会です。
会期 | 2025年3月11日(火)~2025年6月8日(日) |
住所 | 〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7 国立西洋美術館[東京・上野公園] |
時間 | 9:30~17:30(金・土曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、5月7日(水)(ただし、3月24日(月)、5月5日(月・祝)、5月6日(火・休)は開館) |
観覧料 | 観覧料(税込) 一般:当日2,300円 / 前売2,100円 大学生:当日1,400円 / 前売1,300円 高校生:当日1,000円 / 前売900円 |
TEL | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
URL | 展覧会公式サイト|https://art.nikkei.com/dokomiru/ |
交通案内 | JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分 京成電鉄京成上野駅下車 徒歩7分 東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車 徒歩8分 |