「2章 手のひらの闘牛場」会場風景より
東京都・南青山のヨックモックミュージアムでは、コレクションをさまざまな視点から紹介する展覧会の第5弾として、「ピカソ・セラミックー『見立て』の芸術」展を2025年12月28日(日)まで開催しています。
開館記念第5弾の今期は、ピカソのセラミックなどの制作を「形の転用の実験」と位置づけることで、日本文化における伝統的な視点である「見立て」との共通性を見出し、その様子を探るものです。本記事では一般公開に先立って開催された内覧会を取材し、展覧会の見どころや併設カフェについて紹介します。
※主催者の許可を得て撮影をしています。
ピカソは「見立て」の天才!遊び心を活かした展示に注目
地下1階の展示室に広がるのは森の風景。生い茂る木々の枝で、フクロウが羽を休めているように見えます。ただ整然と陳列するのではない、遊び心のある展示方法に驚かされる空間です。
あるものを別のものに転用する、「見立て」という文化。日本古来の文化芸術のあり方であるその手法が、ピカソのセラミック制作にも共通する精神であることに本展は着目しています。「ピカソのそうした見方は初期から晩年まで一貫しており、彼は見立ての天才であると言えるのではないでしょうか」と、展覧会の監修を務めた大髙 保二郎氏(早稲田大学名誉教授)は解説しました。
「日頃から箱根という観光地で、作品を知識だけでなく体験としていかに提供できるかを考えています」と話すゲストキュレーターの東海林 洋氏(ポーラ美術館学芸員)は、「無機物であるセラミックの中に生き物を見立てている。ピカソは実用品としてこの壺を作ったわけではなくて、このように森の中を飛び交うようなフクロウをイメージして制作したのではないかと思って、このように展示しました」と話します。実はピカソ自身も、ヴァローリスで保護したフクロウを飼っていたのだとか。そして自分の顔はフクロウに似ているという自負があったそうです。
ユーモラスな作品たちには何が込められているのでしょうか。東海林氏は「第二次世界大戦後にヨーロッパのすべてが破壊し尽くされて、人間性が失われた時代を経た。その瓦礫を集めるようにして、次の楽しく明るい時代を作り上げるというピカソのメッセージだったとも言える」と話しています。
鑑賞後は「カフェ ヴァローリス」で愛らしいミニャルディーズに舌鼓!
ヨックモックミュージアムを訪れたら立ち寄ってほしいのが、「カフェ ヴァローリス」です。
このカフェ一押しのスイーツは、ヨックモックグループのハイエンドパティスリーブランドである「アン グラン(UN GRAIN)」が提供するミニャルディーズです。「可愛い」「上品」をイメージするひとつまみサイズのお菓子を意味し、季節に合わせてヨックモックミュージアム限定を含む8種類のミニャルディーズをお届けしています。
内覧会では特別に許可を得て、「ミニャルディーズ セット ダブル」を試食しました。手のひらサイズのミニャルディーズがお皿にちょこんとのったビジュアルは愛らしく、宝石のようです。
まずは、秋冬シーズンに食べられる「ラ ぺ(La paix)」を。ヨックモックミュージアム限定ミニャルディーズで、秋冬限定の季節商品です。La paixとはフランス語で「平和」を意味し、ピカソは1949年に開催された「第1回世界平和擁護大会」のために真っ白な鳩を描いています。以後、白い鳩は平和の象徴となり、ピカソはちょうどその頃生まれた娘に、平和を願ってスペイン語で鳩を意味する「パロマ」という名前をつけました。
スプーンで一口すくって食べると、ほんのりベルガモットが香るムースショコラがとろけます。中身はラベンダーのクレームブリュレとアプリコットのコンポートが二層に重なり、南仏を思わせる味わいです。チョコレートの甘みにアプリコットの酸味が合わさり、小さいながらも完成度の高さを感じさせます。
白く薄い繊細なホワイトチョコレートは、白鳩の羽を模したもの。「人は皆、平等に平和を享受できる」との思いを込めて「イコール(=)」の形に絞った紅茶のシャンティショコラをのせています。
そして、今回は特別に春夏限定(※来年は4月ごろから販売予定)のミニャルディーズ「ヴァローリス(Vallauris)」も試食。ピカソがセラミック制作に没頭した、南仏の町ヴァローリス周辺で有名な地方菓子“カリソン”がモチーフです。
一口味わえば、春夏にぴったりの爽やかさ。まるで油彩のキャンバスのように「見立て」た表面には、アンズや赤すぐり、カシスなどで一つひとつ丁寧に色付けをし、つややかで美しい佇まいに仕上げています。
香ばしいアーモンドのジョコンド生地を土台に、ドライフルーツをちりばめたヌガームースはふわふわの食感。上にはローズマリーやピンクペッパーをきかせた白ワインでコンポートしたアンズをのせ、酸味のあるレモンムースで包んでいます。
ピカソの芸術鑑賞を体験として持ち帰ろう
作品を説明するのではなく、体感してもらうことに重きを置いた「ピカソ・セラミックー『見立て』の芸術」。東海林氏は「ピカソは人々と楽しさや遊び心を共有できるような作品づくりをしていると、作品を通して感じてきた」と話します。この機会にぜひ、ピカソの芸術作品を体験してみませんか。
会期 | 2024年10月29日(火)〜2025年12月28日(日) |
住所 | 〒107-0062 東京都港区南青山6-15-1 ヨックモックミュージアム |
時間 | 10:00-17:00(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜休館(ただし月曜が祝日の場合は翌平日)、年末年始 |
観覧料 | 一般 ¥1,200 学生(中学生以上) ¥800 小学生以下無料 ※学生の方は学生証等の在籍が確認できるものをご提示ください。 ※障がい者手帳をご提示の場合、ご本人と付き添いの方1名は無料。 ※団体割引をご希望の方は、条件をご確認ください。 |
TEL | 03-3486-8000 |
URL | ヨックモックミュージアム|https://yokumokumuseum.com/ |
交通案内 | 東京メトロ「表参道」駅B1出口から徒歩9分 表参道駅から当館までの最短ルート(階段あり)はこちらB1出口 表参道駅から当館までの最短ルート(エスカレーター使用)はこちらB3出口 表参道駅から当館までの最短ルート(エレベーター使用)はこちらB3出口 渋谷駅東口より51番のりば都営バス「01系統」乗車、「青山学院中等部前」下車徒歩1分 ※駐車場はございません |
後援 | スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京、港区教育委員会 |