トップ写真:©さくらももこ ©さくらプロダクション
高校3年生のときに書いた作文が「清少納言が現代に来て書いたようだ」と言われたことから、エッセイまんがを描くことに——
“描く”ことと“書く”ことを楽しみながら、季節のうつろいや小さな日常をこよなく愛したさくらももこさん。そのライフスタイルはまさに、「をかし」な出来事や日々の気づきを書き綴った清少納言のイメージが重なります。
神奈川県・横浜のそごう美術館では今、さくらももこさんの多彩な仕事を紹介する展覧会が開かれています。
4月下旬、プレス内覧会へ。展覧会の見どころについてご紹介します。
『さくらももこ展』の概要
さくらももこさん、と言えば真っ先に『ちびまる子ちゃん』を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、まんが家だけではなくエッセイスト、作詞家、脚本家といくつもの顔を持っていたことが本展ではよくわかります。
稀代のアーティストとも言うべきさくらももこさんの、いまなお輝き続きけるその全仕事に迫る展示です。
・『ちびまる子ちゃん』をはじめ、さくらももこ先生が描いた原画を見たい!
・さくらももこ先生のエッセイについて知りたい!
・駅近の百貨店でお買い物をしつつアート鑑賞も楽しみたい!
さくらももこさん(1965年-2018年)は静岡県出身で、1984年にまんが家としてデビューしました。
2年後の1986年に『ちびまる子ちゃん』を連載開始して大ヒット、1989年には第13回講談社漫画賞を受賞しました。他にも、『もものかんづめ』『COJI-COJI(コジコジ)』『神のちからっ子新聞』など多数の作品を世に送り出しています。
本展では全5章に分けて、約300点のカラー原画や直筆原稿を一堂に展示しています。
「第1章 ももことちびまる子ちゃん」では、おなじみの大ヒットまんが『ちびまる子ちゃん』について取り上げています。冒頭ではさくらももこさん自身がモデルとなって生まれたキャラクター「まるちゃん」をはじめ、ゆかいな仲間たちを原画とともに紹介します。
作品の舞台はさくらももこさんの地元をイメージしていること、まるちゃんの親友である「たまちゃん」にも実在のモデルがいることなど、さまざまなエピソードも含めて楽しめます。
温かみのあるイラストや華やかな表紙絵も必見です。
さくらももこさんと交流があったミニチュアドールハウス作家・戸塚恵子さんが制作した、駄菓子屋のドールハウスと「さくらベーカリー」も展示されています。
まんがが話題となった『ちびまる子ちゃん』は1990年1月7日にテレビアニメ放送を開始し、その後は劇場版アニメにもなりました。会場では、さくらももこ氏が手がけた映画のシナリオも展示されています。
また、1992年秋には「もっと小さな子どもたちでも『ちびまる子ちゃん』を楽しめるように」と、絵本シリーズを展開しました。その後も『4コマちびまる子ちゃん』を連載したり、セルフパロディ作品『ちびしかくちゃん』やスピンオフ作品『永沢君』などの派生版を制作したりと、大躍進を続けました。
「おどるポンポコリン」などのアニメ主題歌は、キャッチーなメロディと歌詞で国民的アニメソングにもなっていますが、これらの作詞を手掛けたのもさくらももこさんです。その独特な言語感覚とセンスには驚くばかり!
「第2章 ももこのエッセイ」では、さくらももこさんのエッセイ作品を紹介しています。ベストセラーとなった代表作『もものかんづめ』は思わず爆笑してしまうようなエピソードや、共感してしまう日常のあるある話、名言などが詰まった珠玉の随筆です。
軽妙な語り口は誰でも読みやすく、さくらももこワールドに入り込める名作と言えます。
また、第2章ではさくらももこがパーソナリティを担当した『さくらももこのオールナイトニッポン』のラジオ音源が聞けます。「まるでちびまる子ちゃんがそのまま大人になったかのよう」と評されるハイテンションなマシンガントークは必聴です!
ミュージアムショップでは、カラフルでポップな展覧会グッズを多数取り揃えています。
展示室の入り口には、さくらももこさんの長男で現在はさくらプロダクション代表の三浦陽一郎さんの挨拶文が掲示されています。三浦さん——過去には“さくらめろん”のペンネームで親子共作も行った——は、さくらももこさんの作品について「味わいがある」と伝えています。
『ちびまる子ちゃん』を筆頭にさくらももこさんの作品は、楽しく愉快で時に切ないストーリーが魅力です。その趣深さはまんがのキャラクターたちと等身大の少年少女以上に、きっと大人にこそ刺さるもの。
会期は5月28日(日)までで、そごう美術館での開催後は静岡・神戸・長崎へと巡回します。
さくらももこさんの世界観は、何気ない日々に意外な気づきをもたらすかもしれません。
会期 | 2023年4月22日(土)〜2023年5月28日(日) |
住所 | 神奈川県横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店 6階 |
時間 | 午前10時~午後8時(入館は閉館の30分前まで) ※そごう横浜店の営業時間に準じ、変更になる場合がございます。 |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 | 【 事前予約不要 】 一般1,400円(1,200)円、大学・高校生1,200(1,000)円、中学生以下無料 *消費税含む。*( )内は、前売および以下のカードをご提示の方の料金。 [ミレニアム/クラブ・オンカード、セブンカード・プラス、セブンカード] *障がい者手帳各種をお持ちの方、およびご同伴者1名さまは無料。 |
TEL | 045-465-5515 [美術館直通] |
URL | そごう美術館|https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/ |
交通案内 | ・横浜駅東口から徒歩5分。 ・首都高速道路横羽線東神奈川 ランプから5分。 |