2024年2月24日(土)から2024年3月24日(日)まで、東京都・銀座のギャルリーためながで吉川民仁の展覧会「景色の声音(けしきのこわね)」展を開催しています。
本展は「色彩の発する声音を聴き、画面と対話しながら、その枠を超えて広がる未知なる景色を描きだしたい」と語る吉川ならではの視点から、「景色の声音」展と題しました。数々の展覧会を経て、より一層彩りを増す新作約40点を一堂に展覧します。
※本展主催者の許可を得て撮影をしています。
作家紹介|吉川民仁(Tamihito YOSHIKAWA)
1965年千葉県生まれ。武蔵野美術大学にて学ぶ。
学内の風潮は具象絵画が中心であったが、吉川はやがて抽象絵画へと進んでいく。
2016年、ギャルリーためながフランスで開催した展覧会で高い評価を得る。
現在、日本内外からその活躍に期待が寄せられる注目の画家である。
作家インタビューと会場風景
——絵を描くとき、何に心を動かされていますか。また、それらは作品の題名でもある自然とどのように結びついているのでしょうか。
実は、僕がやりたいのは画面の上で遊ぶことなので、そのときに画面に出てきたものがどういう喩えだと皆が納得するか、というところも一つあるんですよ。
例えば、黄色を使いたいと思って描いたときに、色彩からイメージするのは春の菜の花だったり、秋の黄葉だったりするじゃないですか。だから、絵の意味づけや作品のタイトルはあまり先にはなくて、後付けのことが多いんですね。それに、実際に日常で見ている四季の移ろいから、何かしらを貰っているのは確かなんですね。
だから、僕にとってタイトルは重要ではなくて、それは鑑賞を妨げないような要素で、多少ちょっと頷けるなっていう程度でよくて。あとは、絵を作るのは僕ですが、最終的に成り立たせるのはやっぱり見る人なんですね。そこで初めて絵画って出来上がるんですよ。面白い絵は、そこで幅がものすごくワーッと広がるんです。
——大学で油絵を学んでいた時期、具象画を描く風潮があった中で、どのように今の抽象絵画の表現に辿り着かれたのでしょうか。
僕は割と学生の頃から、かちっとしたリアルな絵画よりも、ちょっと崩したような半抽象的な絵が好きだったし、そういうことをやっていきたいなと思っていたんですね。
ものを見て描くことからだんだん離れていって、好き勝手にやっていく訳ですよ。そうすると、何か対象を描いている訳じゃないから、ものでもないし何でもないものが出来てくる。何かに見えることを拒否すると、混沌とした画面になっていく。その中で、僕が頼りにしたのは物質感なんですよね。そこから、自分は物質性と空間性に興味があるんだなと気づきました。
そこに行き着くと、形があるほうに戻って来られなくなっちゃったんですよ。だから僕はもう、形のある世界に戻って行けなくなっちゃったまんま、戻ってきてないだけの話なんです。
——今回の個展では新作も展示されています。見どころや、これからご覧になる人に向けたメッセージをお聞かせください。
新作には虹(Rainbow)をテーマにしたものがあります。あとは、あまり東京ではお目にかけていない《熾火(おきび)》という、赤と黒のコントラストの強い作品を展示しました。
正解が絵の中にある訳ではなくて、見た人に感じることがあれば、もうそれが正解なんです。それぞれの季節感を味わってもらえればいいなと思うのと、あとはもう、絵を見たときに何となく自分の体験してきたことと重なるような、そういうイメージを持ちながら好きに楽しんでいただけたらありがたいなと思います。
会期 | 2024年2月24日(土)〜2024年3月24日(日) |
住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座7-5-4 毛利ビル 1F |
時間 | 月〜土 11:00 – 19:00 日・祝 11:00 – 17:00 |
休館日 | なし |
観覧料 | 無料 |
TEL | 03-3573-5368 |
URL | ギャルリーためなが|https://www.tamenaga.com/ja/ |